February(20) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「だからー。 高遠くんみたいに将来の夢?とかある人のことすんごい羨ましいんです。 ほんっと、かわいい以外大した取り柄もないし・・」


ひなたは本気のため息をついた。


それには思わずさくらと奏は目を合わせてしまった。


「頭も悪いし。 特技もないし。 ま、ちょっとダンスは得意なんだけどー。 そんなにすごい巧いってわけでもないし・・」


ひなたはストローでぐるぐるとかき回した。


「だからあ。 将来なりたいものとか? も別にないんですよ・・。 だから高校受験もどーしたらいいのか。 ほんっと悩む、」


本人は真剣に悩んでいるようなので、うかつなことを言えないと思ったさくらは


「で、でもさ。 そのカワイイって武器があるじゃない。 だって、お父さんホクトの偉いさんでしょ? モデルとか? 芸能人とかさー、」


気を遣って話を広げた。


「スカウトも前にされたことはあるんですけど…。 正直ソレもあんま興味ないというか。 でも、大学行くほど勉強も好きじゃないし・・自分ができそうなことって言ったら・・。 もー、それしかないかなとか思わなくもないんですけど、」


さくらは奏に


「・・あんたの彼女。 ここまで言ってこんなにキュートってナニ?」


ボソっと言った。


「・・全く悪気はないんです。 本気なんですよ、この人は。」


奏も言った。


「だから。 ホントにピアノに青春かけてるってのとか見ると羨ましい。 ね、先生。 高遠くんは才能ありますか? ピアニストになれますか?」


ひなたは屈託ない笑顔でさくらに言った。


「・・才能があるかどうかは。 全て自分の中で決めること。 彼はこれからたくさんの壁にぶつかると思うけど、それをひとつひとつ乗り越えた時に見えてくるもんだと思うよ。 あたしはそのお手伝いをさせてもらってるだけ。」


さくらはコーヒーを一口飲んだ。


「じゃ、頑張れば。 世界一とかになれますね?」


ひなたは目をキラキラさせて言った。


「世界一・・ってのは、ちょっと、」


奏は首をひねった。


しかし


「そうだね。 なれるかどうかはわからないけど、なれないってことも誰もわかんないもん。 奏次第だよ。 じゃ、ごゆっくりー、」


さくらはニッコリ笑って伝票を手に席を立った。


「あ、すみませ・・」


奏が礼を言おうとすると


「さくら先生! どーもありがと! ごちそうさま!」


それよりも元気な声でひなたが手を振った。


そんなひなたにさくらはやや呆れながらも、


「・・これは。 たまんないね、」


奏をチラっと見やって笑ってしまった。


奏もつられて笑ってしまった。



「なんかドーナツも食べたくなっちゃった・・買ってきてもいい?」


ひなたは奏に言った。


「ウン、」


まだまだ外は寒いけど、店の中から見える陽だまりの色は春みたいで。



たくさん壁にぶつかるだろうけど



さくらの言葉を思い出したけれど


でも。


ショーケースの前でドーナッツ選びを真剣な顔で悩んでいるひなたを見て


どんな時でも


彼女がいてくれれば


絶対に負けないって思える。


それだけは


自信があった。


天然すぎるひなたの発言にさくらはあっけにとられて・・・



ひなたと奏の出会いはこの辺からどうぞ→→→





人気ブログランキングへ
↑↑↑↑↑

読んでいただいてありがとうございました。よろしかったらポチお願いします!