For life(16) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「でも、」


拓馬はやはりためらっていた。


志藤は彼がすんなりとこれを受けることはない、と思っていたので


それは想定内だった。




「おまえかてほんまに頑張ってきたんやろ。 それはお義父さんのためだけなんか。 おまえ自身のためもあるんとちがうか? 彼女に背を向けて、背を向け続けて・・これからも生きていくんか、」



少しだけ力を込めて彼に言った。



電話一本で別れを告げてしまったことが


ずっとずっと心にひっかかっていた。



今の自分は


少しは彼女が精魂を込めた作品を見る資格があるんじゃないのか。




「・・・おまえが。 行くべきや、」




志藤は揺れている拓馬の気持ちを読んで


最後のとどめの一言を投げかけた。





志藤には行くとも行かないとも


はっきりとした返事はしなかった。



ただ


そのチケットが入った白い封筒は今自分の手元にある。




拓馬は自宅に戻りベッドに寝転んで天井をぼんやりと見た。




父は


抗がん剤の治療を終えたが


体力が落ちてしまってなかなか退院ができなかった。



だんだんと弱ってくるのが目に見えてわかり


みな見舞うたびにそれを実感して


気持ちが重い。




拓馬はずっとずっと迷ったままだった。



彼女にきちんと会って


自分の気持ちを話さなくてはならないと思う反面


会ってしまったらまた気持ちが揺らいでしまいそうで。






眠っている父の顔を見ながら


ぼんやりと考えていた。




「・・来てたのか・・・・」




あまりにぼんやりしていて父が目を覚ましたのも気づかなかった。



「あ・・・うん。 雨が急に降ってきて・・仕事が早く終わっちゃったから、」



慌ててしゃんとした。



父はその言葉に


ゆっくりと窓の方を見やった。



窓から見える葉が


雨で揺れている。



拓馬は志藤から受け取ったチケットを手に悩みます…




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