For life(15) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

どんなことばよりも


死ぬほど嬉しい。




『おまえのことも息子だと思っている』




それなのに


もうすぐ別れなくちゃならないなんて。





義父がどんな思いで


自分にこのチケットを託してくれたのか。



その意味もわかりすぎた。





志藤は『こまち』で拓馬と会った。



さっきまで大泣きしたことを悟られないように何度も病院のトイレで鏡を見てしまった。




「なに、今帰って来たの?」


拓馬は普通にビールを飲み干した。



「・・ん。 」


志藤も少し気持ちを落ち着かせるようにビールを一気に飲んでしまった。



すごい賭けを


頼まれた。


自分がうまく言わなければ


何もかも無駄になるかもしれない。



志藤はスーツの内ポケットから例の封筒を取り出した。



「これ。」



目の前に差し出された封筒に拓馬は怪訝な顔をした。



「え、なに? 現金?」


いつもの彼の調子で思わず吹き出しそうになったが


志藤はその封筒からチケットを取り出した。



「え・・・・・」



すぐに『千睦流』という文字が飛び込んできて


拓馬は見た目にわかるほど動揺していた。




「実は。 この24日にウチの関連のノースキャピタルホテルで千睦流の作品展があるそうや。 その時のな、余興で北都フィルのアンサンブルをやらせてもらうことが急に決まって。 実は、おれ・・・詩織さんに会った、」



その話に拓馬はさらに驚いているようだった。



「・・・前に一度だけ会って紹介してもらった時よりも何だか・・すっごいしっかりした印象で。 前に勤めてた会社も辞めて今は千睦流の仕事だけしてるって言うてた。  ほんま・・深窓のお嬢さまって感じの人やったのにな。 立派な『次期お家元』って雰囲気やったもん、」




拓馬は黙ったままジッとそのチケットを見つめた。




「おまえも・・めっちゃ頑張ってるし。 彼女もきっとおまえと別れてから必死に頑張ってるんやな。 あのままうまくいけばよかったのかもしれへん。 でもな。 こうして別れて、自分たちの道を見つめなおせたのには意味があるかなって。 少なくとも・・拓馬はお義父さんの仕事を真剣にやっていこうって気持ちになれたし。 その気持ちはお義父さんにも伝わったと思う。」


そして


少しだけ緊張して



「このチケットは・・・おれが彼女から貰ったもんや。 でも。 一番行って欲しいのは・・・拓馬かなって。」



ウソがばれないように


慎重にそう言った。



拓馬は黙って志藤に視線を移した。



「会わない間に・・彼女がどれだけ頑張ったのか。 しっかりと見てあげたらどうやろか、」



とにかく


拓馬にこの会場に足を運ばせたい。



志藤は必死だった。


志藤は義父の思いを全て汲んで拓馬にチケットを手渡します・・・




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