For life(14) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

この日も多忙であったが、何とか9時過ぎには病院に入れた。


シンと静まり返った病室で


義父は起きて志藤を待っていた。



「・・わりいな。 おめえも忙しいのに。」


「いえ、」



なぜ自分をわざわざ病院に呼んだのか。



義母や拓馬やゆうこではなく自分なのか。


病院に向う電車の中でずっとそのことを考えていた。



義父は枕の下から見覚えのある白い封筒を志藤に差し出した。



「これ。 おめえから・・・拓馬に渡してやってくれ、」



その中身は見ずともわかっていた。



「・・これを・・?」



詩織がくれたチケットだった。



「・・・おめえが。 直接拓馬に渡したことにしてくれ。 おれのことは・・言うな。」




その封筒はずっと枕の下にあったからか


ほんのりと温かかった。




黙ってそれを手にした志藤は


胸の中が


その温かさでいっぱいになってしまった。




義父が何を思い


何を許したのか




もう何も言葉がなくても伝わってきた。




「・・・・ありがとうございます、」


志藤は思わずその言葉が出てしまった。



「・・なんでおめえが礼なんか言うんだ、」


義父はちょっとだけ笑った。



「お義父さんに・・・こんな大事なことを頼まれる日がくるなんて。 思いもしませんでした、」



ムリして笑顔を作ってみたけれど


油断をすると涙がこぼれそうだった。




「・・・いきなり・・うちに来て。   子供ができたからゆうこと一緒になりてえって言ってきたときは。 ・・もうおまえを八つ裂きにすることしか頭になかったけどな・・・・」



あの日のことを


少しだけ思い出して



二人とも苦笑いをしてしまった。




「・・・おめえが・・ゆうこをもらってくれて・・・よかった。 あいつは・・ほんとに幸せもんだ、」



そんなこと絶対に口にする義父ではないのに。


そうやって自分を試しているのか。



泣いてしまったら


義父の命の限りを認めてしまうようで


絶対にそれはしたくなかった。




「ウチの・・・せがれたちは・・・おれに似ちまったのか・・・どっか不器用なところがあって。 おめえみたいに・・・頭が良くて・・・うまく立ち回ったりできねえから・・。 おめえがいてくれたら・・・だいじょうぶだな、 もうおめえのことは息子だと思ってっから・・・」




「・・・お義父さんからそんなに褒められたら・・・。 なんだか後が怖いです。 おれなんか、」



そう言いかけた時に



勝手に自分の中の何かが切れてしまった。



まんまと義父の『罠』にはまってしまったのか。


いや


義父はそんな狡猾な手口で本当のことを知ろうだなんて


思わない人だけど。




志藤は堪え切れずに大粒の涙をこぼしてしまった。



嗚咽が漏れるほど


泣きじゃくってしまった。




義父は志藤にチケットを拓馬に渡すよう託します。その意味を深く深く思う志藤は涙が止まらず・・・




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