義父が
詩織と会っている
そう確信した。
それは何のためなのか。
「すごくおとなしいお嬢さん風なんだけど・・・仕事の指図もテキパキしていて。 立派にやっていることがよくわかりました。 彼女にとっての初めての大きな仕事だと言っていました、」
「こんなもの・・・おれにくれたって。 花のことなんかわかりゃしねえ。」
いつもの義父のように
少しだけ悪態をついて。
詩織が自分の前で突然涙を見せた理由も
わからないままだったが
確かに何かが動いている。
凛太郎と名づけられた赤ん坊は
よく泣いてよくおっぱいを飲んで
元気一杯だった。
「かわいー・・。 くちがもぐもぐしてる~、」
姉弟の中でもななみは赤ちゃんが大好きで
暇があるとベビーベッドにへばりついて小さな弟の様子を見る。
「ななみも生まれたばっかのころはこんなちっちゃかったんだぞ。 や、もっともっとちっちゃかったかなー、」
志藤家にやって来た拓馬も一緒に嬉しそうにベッドの中を覗き込んでいた。
「ななみねえ、このまえおしめもとりかえたんだよ。」
「すごいなあ。 ママが助かるな。」
本当にこの小さな小さな命を見ているだけで
人間の生命力の強さを実感する。
ふと
父のことを思う。
以前より大分痩せてきて
小さくなってしまった父を。
このまま儚くなってしまうのか
そう思うだけで胸が締め付けられる。
そして年末に近づき
事業部は忙しさを極めていた。
12月も後半を過ぎて、日曜もなく仕事だった。
そんな時。
「え? ・・・お義父さんですか?」
義父が自分の携帯に電話をしてきたことに志藤は驚いた。
携帯なんか持つような義父ではなく、もちろん自分の携帯なんかに電話なんかしてきたことがない。
いまだ入院中の義父はたぶん病院の電話からかけてきている。
「・・わりいけど。 今晩、寄ってくれねえか。」
しわがれた声でそう言った。
志藤は詩織と義父との接点を思い巡らせます。 そして義父から改まった電話があり・・・
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