For life(12) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

あの彼女の涙と


この白い封筒の中身。



志藤は何だかどこかで何かが動いているのではないか、とドキドキした。



気になった彼はその夜、会社から直接入院する父のところに寄った。



「・・・ちょうどよかった・・・。 これで、どうだ。」



副作用が辛いであろうことが顔色でわかった。



父は志藤に一枚の紙切れを手渡した。



そこには



『凛太郎』



ヨレヨレの字で書かれている。




「・・・りんたろう・・・、」



「いちおう・・字画も調べたからな。 男の子らしく・・凛として・・恥ずかしくない人生を・・送れるように、」



一生懸命に考えて


一生懸命に文字にしてくれた父の気持ちを思うと


胸がカッと熱くなった。



「・・ありがとう・・ございます。 いい名前です・・・・」



志藤が微笑むと父も嬉しそうにふっと笑った。




そして思い出したように



「実は。 今日・・・意外な人と仕事で会うことになって、」



少し思わせぶりにブリーフケースから先ほどの白い封筒を取り出した。



「え・・・」



「これを。 お義父さんにと預かりました、」



いったい誰なのか


志藤は肝心なことを言わなかった。



なんだか詩織の様子が気になって、わざと黙って父にそれを渡してしまった。



父がわけもわからずにその封筒の中を取り出すと



一枚のチケットだった。



見づらそうだったので志藤は枕もとのライトを少し明るくしてやった。



それが



千睦流の作品展のチケットであることを知った。




父はそれをジッと見つめて



「・・・・たいした・・・お嬢さんだなあ、」



ポツリとつぶやいた。



志藤との接点も問いかけてこずに、ただただ彼女に思いを馳せていることがわかった。




「・・・この作品展は・・彼女が中心になって開かれるそうです、」



「そうだってな、」



普通に同意した父だったが


その言葉に志藤は密かにハッとした。



詩織から預かった封筒の中身は千睦流の作品展のチケットでした・・が?



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