For life(11) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

話はトントン拍子に進んだ。


3~4人のアンサンブルなら急でも何とかいけそうだった。


志藤は話し合いながらもプランを頭の中で組み立てていた。



「じゃあ、また詳しいことはご連絡させていただきます。 申し訳ありませんが、私はこれで。」


営業部長の平田は他に仕事があるようで、笑顔でお辞儀をしたあと先に部屋を出てしまった。




「・・・そう、ですよね。 ノースキャピタルは・・・北都グループのホテルでしたね。」


詩織はふっと微笑んでポツリと言った。



「普段はほぼ関係ないんですけど。 たまたまぼくがクラシック事業本部の本部長なんで。 偶然で驚いた、」


志藤も笑ってタバコに火をつけた。



「・・・けっこう大きな作品展なんですね。 ちょっとしたパーティーだ、」


再び資料に目を向ける。



「今回は・・母から私が中心になってやるように言われていますので。 メインの作品も任されています・・・。」



彼女が次期家元であることをつくづく実感する。



「・・少し会社勤めもしていたんですけど。 もう辞めて『千睦流』の仕事だけをすることになりました。 いつぞやは・・奥さまやお母さまに助けていただいて。 ちょうど忙しい時だったので・・・出先で倒れてしまって、」



「ああ、いえ。 大事にならなくてよかった。」




詩織は少しためらってから



「・・お父さまのお加減は・・・どうですか、」



思い切って志藤に聞いた。



「・・今は・・何度目だろう。 抗がん剤の治療をするために入院をしています。 毎回本当につらいらしくて・・・。 でも、今回は我慢しているんでしょうが、おとなしく治療をしてくれているようです、」


「また、退院はできるんでしょうか、」


「・・経過が良ければ、と聞いてます。 この頃はまた腰が痛み出して歩くのも大変になってしまったようなんですけれど、」



「・・そう、ですか。」



小さな声でそう言ったあと


詩織はうつむいて少し震えた。



「・・詩織さん・・?」


彼女の顔を覗き込むようにすると



バッグからハンカチを取り出して目頭を押さえた。



「・・す・・すみません・・・。 なんだか・・・いろんなことを、」



彼女が何を思い涙をしたのか


志藤はその思いを汲むことが心に痛い。




「・・・お願いをして・・よろしいでしょうか、」



詩織は鼻をすすって再びバッグから封筒を取り出し



「・・これを・・・白川のお父さまに・・・。 お渡し願えますか。」


志藤に手渡した。



「え・・?」



「今日・・・志藤さんにお会いできるなんて・・全く思いもしなかったのですが。 ・・突然で申し訳ありませんが。 お願いします、」




その封筒の中身は



聞けなかった。





詩織が指導に託した封筒の中身は・・・?





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