For life(8) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

戸惑う父だったが


ちょこっとだけ嬉しそうな表情を見せた。



「・・・字画だなんだって・・・いろいろ考えなくちゃなんねえし・・・・、漢字もあんまりよくわかんねえし・・・」



拓馬とゆうこは顔を見合わせてクスっと笑った。



「そーだよなあ。 ゆうこの名前を役所に届ける時も。 名前書いたメモ、どっかやっちゃって、わかんなくなっちゃって結局漢字だったのをひらがなで出しちゃったんだもんなあ、」



拓馬は笑った。



「ほんと。 今度はちゃんとメモしといてね、」



「ばかやろう、そんな昔のこと穿り返しやがって・・・・」



久しぶりに父と笑い合えた。




志藤とゆうこは少しでも父に苦しい治療を乗り越えてもらおうと


父に子供の名前を託すことを決めた。



何か


父の思いを遺したい



そんな気持ちも込めて。




「お父ちゃん、まだ起きてたの?」


一旦志藤家から帰宅した母は、いつもならとっくに寝ているはずの時間なのに


夫がまだ起きて、しかめっつらで辞典を開いているのを見て言った。



「なんだかめんどくせえこと頼まれちゃってよ、」



そう言いながらも嬉しそうな夫に



「責任重大だね、」



母も嬉しそうに笑った。



そして、ふっと辞典から目を離し顔を上げて



「・・明日、ちょっと出かける。」


唐突に言った。



「え? どこに? もうあさっては入院なんだから。 仕事なら拓馬に任せて、」



「仕事じゃねえ・・・。 ヤボ用だ。 時間はかからねえ、」


「じゃあ、あたしも一緒に行くから。」



「いや。 ひとりで行ける。」



どこに行くのか、なにをしに行くのか


全く語らなかった。





翌日


父がやってきたのは。




数ヶ月ぶりの友永邸の前だった。



この頃はまた腰の痛みがひどくなり


杖がないと歩けなかった。



タクシーで側まで来て、足を引きずるようにようやく大きな門の前にやってきた。




しばらくジッと佇んでいたが



門の脇の通用口からスーツ姿の男が出てきた。


見覚えがある


いつも家元の側にいた秘書のような男。



父はハッとして


ゆっくりと歩み寄った。



千崎も気づいて歩みを止める。



「・・・あなたは・・・」



もちろん


拓馬の父のことは覚えていた。



父は赤ん坊の名前を考えるのが嬉しそうですが・・・なぜか友永家に向かい??



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