For life(7) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「そうか。 生まれたか、」



家に戻り父に報告した。



「すげえ安産。 早くておれもびっくりした。 オヤジも調子が良かったら明日にでも行ってみろよ、」


「・・どうせまたおれもすぐに病院行きだしな。」


「何度でも孫の顔を見れるのは嬉しいもんだろ?」


からかうと、ふんと言ったように背を向けてしまった。



ゆうこには5人の子供が生まれ


兄の和馬には妻の連れ子の莉子と1年前に生まれた和馬との長男、斗馬がいる。 



たくさん孫の顔を見せてやれて


ほんとよかったな。



拓馬はしみじみと思った。



自分はそういう幸せを両親に与えてやれないだろうけど


今まで一番心配をかけた分


しっかりと父の跡を継いで安心させてやるだけだ。




翌日の午前中



拓馬につきそわれて父はゆうこのもとにやって来た。



母子同室になっていて赤ん坊はゆうこのベッドの隣に来ていた。



「少し小さめだけど。 すごく大きな声で泣くのよ。 やっぱり男の子ね・・・」


ゆうこは愛しそうに赤ん坊を抱き上げた。


そして


「抱いてやって。」


と父にそっと差し出す。



少し戸惑ったような表情を見せた父だったが、拓馬が手を添えてやって抱っこすることができた。



生まれたばかりのその小さな赤ん坊が


眩しそうに目をちょこっとだけ開けた。


小さな手を口元にやって、口をもごもごと動かす。



「・・・生まれたては・・みーんなおんなじ顔だな。 ひなたもななみも・・・みんなこんな顔だったな、」


拓馬も微笑んだ。



父は赤ん坊の顔をジッと見つめた。



少しだけ力を込めてその愛しい塊を抱きしめる。



「お父ちゃんも、明後日から入院でしょう? 少しだけだけど・・あたしも様子を見に行くわね、」


ゆうこがそう声をかけたが


父は何かを思いつめたかのように黙っていた。


そしてスッと拓馬に赤ん坊を手渡した。



「ほんと。 最初はこんなにちっちぇえんだよなー。 あっという間に大きくなるよな、子供は。」



子供が大好きな拓馬はもう崩れそうな笑顔で


甥っ子の小さな手を取った。



父はそんな拓馬を


同じように黙って見ていた。



「幸太郎さんとも話してたんだけど。 この子の名前、まだ早いと思ってまだ考えてなかったの。 もしお父ちゃんさえよかったら、考えてくれない? 1週間以内に決めればいいから、」



ゆうこの言葉に



「あ? ・・・おれが、か?」



ようやく父は声を発した。



「お父ちゃんも入院しなくちゃならなくて大変だろうけど。 いい名前を考えてね、」



ゆうこは笑顔でそう言った。



5人目の子供の名前を父に託すゆうこ。 父に生きる望みを少しでもつなげたくて・・




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