For life(5) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「ちょ、ちょっと待ってくださいよ。 危ないですから・・・」


「大丈夫です。 もうすぐ道が開けそう・・・」




詩織は休みになると積極的に野山に出かけた。


深窓のお嬢さまの彼女はアウトドアには無縁で


ちょっとしたハイキングもあまり経験がなかったのに


毎回つきそう千崎や他のスタッフは少々戸惑う。




「・・きれい・・」


眼下に田畑の風景が広がる。



すると足元にオニユリが自生しているのを見つけた。



「・・オニユリ・・・。 なんだか私たちがいつも見ているのよりも逞しいわね、」



そっとそれに触れて微笑んだ。



自然の中に生きる植物の美しさを追求したかった。



ふと



彼が隣にいたら



と思ってしまった。



きっとこうして野山の花々を見て


彼もきれいだねって言ってくれるだろう。



あの安曇野の風景を思い出してしまった。




彼女の活ける花が変った、と喜和子も少しずつ気づき始めた。



「・・よろしくお願い致します、」



詩織は自分が活けた作品を母に向けて差し出すように深く頭を下げた。



華やかさはないけれど


しなやかで


たおやかで。



枝や緑がいきいきとしたフォルムを作り出している。



「・・素敵ね。 なんだか生き生きとしている、」



喜和子は率直な感想を述べた。



「『千睦流』の流派を受け継ぐことは大切だけれど、個性を出すことも大事。 今までのあなたは美しいけれど、『自分』をあまり出していなかったような気がするの。 でも・・・この作品は自信に満ち溢れているし、花本来の美しさもきちんと引き出している、」



母にこんなに褒められたことはなかった。



「・・ありがとうございます、」


また深く頭を下げた。




私もこの道しかない。




『千睦流』の跡取りとしてこれからも一生をかけて精進をしていきたい。




今まで以上に決意を新たにした。




一方、拓馬も



「千住のリフォームの方は明日引渡しだから。 とりあえず一段落で・・・明後日からの浦安の現場は・・・」



スケジュール表を見ながら父に報告をしていた。



父は庭でハッピーの相手をしながら、


「・・もうおれにいちいち言わなくてもいい、」


背を向けながらそう言った。



「え?」



「おまえが。 全部仕切れ。  仕事も・・自分でとって来い。」



いつものようにぶっきらぼうに。


だけど


初めて父が自分に全てを任せてくれたような気がした。




そうして拓馬と詩織はそれぞれに仕事に励み、自らの道を究めようと頑張って・・・ 





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