For life(3) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

二度目の抗がん剤治療の入院で


なんだか父はすごく弱ってしまったように思えた。



少しでも良くなるための治療なのに


体力を奪われてしまってベッドの上で寝ていることがほとんどになってしまった。




「なんじゃ、この犬は。」



拓馬が志藤家に行くと、ブラウンのミニチュアダックスの仔犬が尻尾を振ってまとわりついてくる。



「ひなたがねー。 先月の誕生日に何が欲しいって言ったら。 犬が欲しいって言って。 1ヶ月間話し合ったんだけど。 結局飼うことに・・・」


ゆうこはコーヒーを拓馬に淹れて来た。



「って。 また赤ん坊が増えるっちゅーのに、犬まで増やしてどーする!」


そう言いながら仔犬を抱き上げた。



「え~~~、だってえ。 ひなたんちにも犬がほしいな~って! 犬のいる生活がしたいよぉ、」


ひなたは拓馬の手から仔犬を奪うようにダッコしてほお擦りをした。



「幸太郎さんが甘いから。 全く・・・実家に行けばハッピーもいるのに、」


「ハッピーはさあ、じじの言うことしかきかないんだもん。 ひなたの言うことなんか絶対にきかないんだよ、」


「そりゃあなあ。 犬も人を見るって言うからな~。 ひなたよりハッピーのが先輩なんだから。 おまえのことなんか逆に子ども扱いだよ、」


拓馬は笑い飛ばした。



このところ


父が不在でハッピーも元気がなくなってしまって。


1日2回散歩をしていたのに、最近はあまり行きたがらず1度になってしまった。



ゆうこも拓馬もなんだかしんみりしてしまう。



「ほら! モーリス! お手!」


「モーリス?」


「パパがつけたの。 なんだかよくわかんないけど音楽家のひとの名前だってゆってたよ、」


ひなたは一生懸命お菓子で釣って芸をさせようとするが、モーリスはしらんぷりだった。


「まだまだ小さいんだから。 芸なんかムリだって。 なあ、」


拓馬はモーリスを抱き上げ頭を撫でた。



「ねえ、今度じじはいつ退院するの、」



ななみが拓馬のシャツの裾を引っ張った。



「え・・・。 うーん。 いつかな・・・」



本当はここのところ体調が思わしくなく、2回目の抗がん剤治療は終えたのだがまだ退院の目途が立っていなかった。



「またじじんちでみんなあつまって宴会したいね~~! いつもすっごい楽しいから!」


ひなたは拓馬に飛びついてきた。



「宴会好きだなァ・・ひなたは、」


笑いながらも


果たしてもうそんな時はくるのだろうか。


拓馬もゆうこも胸を痛めた。




退院の予定より1週間を過ぎた頃、ずっと寝込んでいた父が突然



「帰るぞ、」



と側にいた母に言った。



「は? 大丈夫なの?」


「もう・・・良くなった。 家に帰る、」


まだ点滴がついたままだったがいきなり起き上がった。


「ちょ、ちょっと待って。 今、先生を呼んでもらうから、」


母が大慌てするほど急だった。




抗がん剤治療の成果はほんの少しだが出ていて、体中に転移していたガンの影が


少しずつ薄くなっていった。



「・・前回よりもいい成果を得たようです、」


母は説明室で医師からそう告げられた。


「・・ありがとうございます、」


「それでも。 ガンがなくなったわけではありません。 いつ急変するかもわかりませんから。 自宅でも充分に注意を払ってください、」



その言葉に現実に引き戻された。



志藤家はワンちゃんを飼い始めました。 そして父の容態をみな心配します…




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