For life(2) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「・・他所の・・女性って、」


母・喜和子のその突然の告白に詩織は激しく動揺した。



「あなたのお父さまは・・・・やはり『千睦流』一門のお弟子さんで。 私の父の大のお気に入りのお弟子さんだった。 もう私が年頃になったころにはいつの間にか彼との婚約が決まっていたくらい。 もう私の意思だとかそういうものもよくわからないうちに結婚になって。 とてもいい人だったし優しくて華道の道にも厳しく精進していて。『千睦流』に、そして『友永』の家に入ってもらうには彼以上の人なんかいないって・・・お父さまだけでなく周囲はみんなそう思ってた。 私もそれが一番いいんだって思っていたけれど。 ・・・実際は、彼はそうじゃなかった、」



喜和子はふと微笑んだ。



「結婚する前から彼には他所に女性がいて。 表向きは『千睦流』の次期家元の婿を務めていたけれど、本当に私のことを愛してくれていたわけではなかった。  あなたが産まれたころに・・私もその女性の存在に気づいていたけれど、・・・仕方ないと諦めてしまって、」




詩織に父の記憶はない。


しかしいつも仏壇で優しく微笑む写真しかしらない彼女にとって


ショックなことだった。




「いつの間にかいい夫婦を繕うようになって。 父が亡くなってすぐに私が跡を継ぐようになって・・・忙しくて正直彼のことに気が回らなかった。 もうその時点で夫婦生活は破綻していたのだけれど、私は世間体だけを気にして形だけの夫婦を演じていたの。 そして愛人の家で突然亡くなったあの人を母と二人、自宅で亡くなったことにして全てを伏せて。 友永の家を汚すようなことだけはあってはいけないって・・・。」



母の結婚生活が


そんなに不幸だったなんて



詩織は夢にも思わなかった。



「だからね。 あなたには・・・本当に好きな人と一緒になってもらいたいの。 私と同じ思いをさせたくないのよ、」



震える声で


当時を思い出したのか


無念そうに眼を閉じた。




「・・・お母さま、」



詩織は胸が苦しくなるほどのやりきれなさを感じていた。



母が拓馬とのことを反対せずに許してくれたのも


全て自分がした悲しい思いだけはさせたくない、という気持ちの表れだったのだと。



「家も大事。 でも・・・あなたの幸せの方がもっと大事。」



喜和子は優しく微笑んだあと



「あなた自身が今の家の状況を考えてどうするべきなのか、しっかりと考えて。 私はあなたの決めたことに反対はしない。 誰のためでもないあなたの気持ちが一番大事だから。 自分の人生は自分で作り上げるものなのよ、」



少し厳しい表情で詩織の目をまっすぐに見た。




ショックで眠れなかった。



思いもかけないその事実に詩織は布団に包まるようにして横になっていた。




私は


ただ拓馬さんのことが大好きだというだけで


自分の『条件』を彼に全て委ねてしまって。


本当に彼の気持ちを思いやってあげたことがあっただろうか。



拓馬とつきあっていたころの自分を思い返す。



何も望んでいないようで


大変なプレッシャーを彼にかけて。



好きだから一緒に居たい


とか


結婚をしたい


とか



あまりにも自分勝手だったんじゃないだろうか。



目をぎゅっとつぶると涙が零れ落ちた。




両親が『愛のない結婚』をしていたことを知ってショックを受ける詩織でしたが・・・



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