For life(1) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

あの義父の自分への『究極の質問』のことは


志藤は誰にも言えなかった。



自分にそれを問いかけてくれたことの意味を思う。



義父は


おそらく自分の命の限りに気づいている。



そう確信していた。




そのことを悟られまいと義父に接する義母の気持ちを傷つけたくない。



拓馬が詩織との縁談を破談にした理由も


自分にあると薄々気づいている。



それも


義父の仕事を懸命に頑張る拓馬にはとても言えなかった。




詩織は体調が回復してきて、少しずつ仕事に出かけるようになった。



「あまりムリをしないでね。」


母・喜和子は心配そうに声をかける。



「大丈夫。 あの時は・・なんだか自分でもセーブできなくて。 暇な時間を作りたくなかったから・・・」


静かに微笑む娘の横顔を見て


拓馬とのことが彼女にとって想像以上のショックだったことに気づかなかった自分を責めてしまった。



「・・お母さま、」


一点をぼんやりと見ながら詩織はぽつりとつぶやいた。


「え?」


「・・やはり。 私は千崎さんと結婚した方がいいのでしょうか、」



まだまだ傷ついているだろうに


そんなことを言ってくる娘がやりきれない。



「・・家のことをきちんと考えなくてはならないことだと思うけれど。 でも。 あなたが幸せだって思えない結婚は絶対にしないで欲しい。」


詩織はふっと母の目を見た。



「・・・そんな結婚。 うまくいくわけないわ。 あなたが一番幸せになれる結婚をして欲しいの、」


思いつめたようにそう言う母に少し怪訝な顔をした。



喜和子はふうっとひとつ大きな息をついて部屋の隅の仏壇に目をやった。




「・・・あなたには。 私と同じ思いをして欲しくない、」



「え・・・」



「愛のない結婚はお互いが不幸になる。」



いつになく深刻そうな母のまなざしに詩織は困惑の表情を向ける。



「いつかは。 あなたにもきちんと話をしないといけないと思っていました。 このまま胸にしまっておこうかとも思いましたけど・・・あなたも人を好きになって結婚ということを考えられる年になったのですから、」



「お母さま、」



「あなたのお父さまは・・・あなたが2歳の時に亡くなりました。 ・・心筋梗塞で突然でした。 でも亡くなったのは・・・他所の女性の家でした、」



母はいつものように背筋をしゃんと伸ばして凛とした表情だった。




詩織は母から実父の『秘密』を明かされます・・・



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