In a dream(9) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

父は腰に湿布を貼っただけで


翌日には仕事に出かけた。



そして検査の結果を母とゆうこで聞きに行った。



「やはり。 白川さんは・・・膵臓がガンに冒されていました。 今は・・・肝臓と肺、そして・・・骨にも転移がありました、」



覚悟はしていたものの


ハッキリとそう告げられると


目の前が真っ暗になり


思考が停止して。



「・・膵臓は自覚症状がわかりずらい臓器なんです。 ・・・発見された時点で手遅れになっていることが多いガンでもあります。」




手遅れ・・・



ゆうこは手にしたハンカチをぎゅっと握った。



たくさん


たくさん


聞きたいことがあるのに


言葉が出てこない。



その時


「・・・あと。 どのくらいなんですか、」


母の小さな声がした。


覚悟をしたようなその母の言葉にゆうこはゆっくりと横を見た。



「・・・おそらく。 半年、」



医師はまっすぐに母の目を見て


しっかりとした口調でそう告げた。



思ったよりも


ずっとずっと短いその時間をゆうこは頭の中でなぞる。



そして


堪えきれずに口に手をあてて泣いてしまった。



「抗がん剤の治療をすれば・・・少しはその時間が延びるかもしれません。 つらい治療になりますが・・・。 ご本人には告知をしますか、」



その質問に母は即座に



「いえ。 告知はしないで下さい。」



とキッパリと言った。



「あの人は・・・あんなですが本当は気が小さくて、それで病院嫌いだったんですから。 もし自分があと半年の命だなんてわかったら・・・・。 もうそこで死んだも同じになってしまう。 命のある限り・・・希望を持ってほしいと思っています、」



40年以上夫婦として過ごしてきた妻の心からの思いだった。



「・・そして。 できるだけ、延命をお願いしたいんです。 抗がん剤の治療は大変だって聞いたことはあります。 本人がつらい思いをするのは・・・見ていられないですが、一日でも長く生きて、子供たちや・・孫たちと一緒に過ごさせてやりたい。」



母は涙をひとつも見せずに気丈に医師に訴えた。



「お母ちゃん・・・」


ゆうこはハンカチで涙を拭った。



「・・・ゆうこの・・赤ん坊が産まれるのも・・見届けさせてやりたいから。 ひなたたちの姿も・・・一日でも長く見せてやりたいから、」



母は娘の背中に手をやった。



出産予定日は11月。


5人目の孫の顔を父に見せてやりたい。


ゆうこも黙って頷いた。



父の末期がん宣告にゆうこは大ショックですが、母は気丈に医師に向かいます。




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