In a dream(5) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「・・・あなただけじゃない。 何が目当てなんだって・・・ご両親やご兄妹さんたちにも、あれやこれやと噂が立つでしょうね。 どう考えても不釣合いですから、」



千崎はまたふふっと不気味な笑いを浮かべた。



拓馬は悔しいが言葉が出てこなかった。


自分のわがままで家族に迷惑をかけるんじゃないか、と


ずっと気にしていた。



「あなたのためですよ。 今のうちに身を引かれたらいかがですか。」


自分より少し年下なのだろうか


そんな彼にそこまで言われることは本当に屈辱なのだが


拓馬は拳をぎゅっと握って、それを堪えた。



自分への中傷なら


いくらだって耐える、と決心したものの


やはり面と向かってこんなことを言われるとやりきれない。





「どうかしら・・・。 お料理はあんまり自信がないんだけど。」


詩織はドキドキしながら拓馬が食事を口に運ぶ様子を見た。


「そんなにじっくり見られたら。 食べられないって、」


拓馬は苦笑いをした。



「だって・・・。 本当にお母さまのお料理・・・美味しくて。 そんな料理をずっと食べてきた拓馬さんはやっぱり味にこだわりがあるんじゃないかって、」



彼女の作ってくれた料理を口にした。



「うん。 美味いよ。 ほんと、」


「本当?」


「ほんと。 しーちゃんみたいなお嬢さんがこんな料理を作れるなんて、ちょっと意外。」


拓馬は笑った。


「いちおう・・・。 料理学校にも通ったりしたんで。 よかったあ・・・。」


ホッとして笑顔がこぼれた。



彼女は時間があるときは仕事帰りに拓馬の部屋に寄るようになった。



こうして彼女と二人で過ごす時間が


本当に楽しくて


幸せで。



千崎から辛辣な言葉を浴びせられたことも


一瞬忘れてしまいそうになるが



言いようのない不安が少しずつ大きくなっていくのも事実だった。



「明日はいけばな協会の理事会に母のお供で一日中出かけることになって。」


後片付けをしながら言った。



「・・そう、」



彼女が普通の家の人ではないことを


こうしてたまに思い知ることもあって。



彼女の母親も祖母も本当に申し分のない人柄なのだが


住む世界が違う人達なのだ


と、この頃は少しずつ身にしみるようにもなっていた。






不安な気持ちを


彼女を抱くことで埋めているようで






「・・あっ・・・、ん・・・」


疑うこともなく


自分に身を委ねてくれる彼女に申し訳なくて


申し訳なくて。



「・・好きだ・・・・、おれ。 もう・・どうしようもなく、」



泣きそうな声で彼女を抱きしめた。



このまま二人で


遠い所に行ってしまいたい。



何もかも忘れて。



少しだけ拓馬に『迷い』が出て来てしまいますが・・・・



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