Let me have a dream(4) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

ゆうこも


いくら愛し合っていても、この恋に『終わり』があること前提で拓馬に厳しいことまで聞いた。



拓馬はまだまだ彼女を諦めるだなんてことを考えることができなかった。



「悪いけど。 まだオヤジやオフクロには黙っててくれないか、」



ずっと黙っていた拓馬はゆうこにそれだけ言った。



「・・でも、」



親に言えないような相手とつきあったりして


それはいったい何になるの?



そう言いたかった。


でも。


もう責められなかった。




真面目な長兄の和馬と違って、自由奔放で間違いなく父親に一番怒られ、殴られたりもした。


両親の性格を本当にしっかりと譲り受けているのが拓馬だった。



兄妹で父親に怒られて廊下に正座をさせられても、拓馬はいつの間に逃げ出したりして


要領がよくて、明るくて。


人懐っこくて子供のころからよく近所の家にあがりこんでゴハンをごちそうになっていたり、


今でも一人暮らしのおじいちゃん、おばあちゃんの家の簡単な修理をタダでやってあげたりして


強面の外見とはうらはらに気持ちも人一倍優しかった。



ケンカもよくしたけれど本当は自慢の兄だった。



電話を切ったあとゆうこは薄暗い寝室のベッドの端に腰掛けて


小さなため息をついた。




「ああ、いいね。 この感じ。 壁の色がベージュよりも真っ白の方が映えるかもしれないね、」


「壁の色はまだ迷ってるんですけど。 でも私も明るい色の方がいいかなって、」


仕事前の時間に拓馬は友永邸に行き、詩織と出勤前のわずかな時間を惜しんで話をした。


相変わらず彼女の仕事の話が多かったが、それでも楽しかった。



詩織が気配を感じてふっと顔を上げると、拓馬の父が仕事道具を持ってやって来た。


「あ、おはようございます。」


詩織が笑顔で挨拶をしたが


父は黙って会釈だけして立ち去った。


「じゃあ。 また、」


拓馬は彼女に小さく手を振って外に停めてある車から道具の運び出しをするために出て行った。




何だか父はあまり口をきかなくなった。


仕事の話ばかりで、雑談さえ拓馬とは交わさなかった。




昼休みから戻った拓馬の父は



「棟梁さん、」


縁側から声がして振り返る。


「さっき。 落ちていましたよ。 この手ぬぐい。 棟梁さんのでしょう?」


詩織の祖母・八重だった。


腰につけていたのを落としたようだった。


「ありがとうございます。」


頭にしていた手ぬぐいを取って頭を下げた。


「いいえ。 いつも本当によくやってくださいますね、」


「・・・仕事ですから、」


「ウチのような昔風の造りの家が少なくなって。 手に負える大工さんも少なくなったと建築会社の人から言われました。 とてもいい腕をしている大工さんがいらっしゃると聞いてましたもので、」


「・・・その代わり。 今風の家を建てるところからはてんで声がかからなくて、」


父は苦笑いをした。



「いい息子さんもいらして。 羨ましいですねえ。」


拓馬のことに触れられて、父の表情は一変した。




この年になり『親に言えない恋』。 ゆうこはその意味を噛み締めます。 そして、拓馬の父は・・



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