Surely(16) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

彼女とはこうして


美しいものを一緒に見て


きれいだねって言い合いたい。



自然とそう思えた。



「拓馬さん、見て! すごい、」


いつも穏やかな詩織が少し興奮気味に指を指す。


そこは


一面の菜の花畑だった。



青い空と高層ビル・・・そして黄色が目に痛いほどの菜の花のコントラストが


胸に迫るほどの感動だった。



「本当に、きれい・・・」


詩織はうっとりとしたようにつぶやいた。


「こんな都会にこんなところがあるなんて。」


「子供のころ遠足で来たりしたよ。 そんなに広くないけど春は花がすごくキレイなんだ。」


「拓馬さんも花が好き?」


「オフクロが好きだから・・・ウチも狭い庭に花がいっぱいでさ。 妹もそれで花が好きになったんだと思う、」



菜の花畑を目の前にして


そこでずっと話をしてしまった。


たまに会話が途切れても、黙ってその美しい景色を彼女と見ているだけで


それで楽しかった。




「桜にもいろんな種類があるんだな、」


同じピンクでも微妙に違う桜たちを見ながら二人はベンチに腰掛けた。


「ここはまだソメイヨシノは9分咲きくらいですね。 そのあとは八重桜もキレイだし・・・」


歩いていても


座っていても


少しだけ距離をとって。



でも。



詩織はベンチに何気なく置いた手に暖かさを感じて、少し驚いたように彼を見た。


彼の視線は頭上の桜に注がれたままなのだが


彼の手が自分の手を包み込んでいることがわかると


胸が破裂しそうにときめいた。



「・・・好きだよ、」



拓馬はようやく詩織に視線を移した。



「・・・どんなに考えても。 大好きだ。 ・・・そう思った、」


少しぶっきらぼうなその告白に


「拓馬さん・・・」


詩織は言葉を口にするだけで


気持ちが溢れそうだった。



「しーちゃんは。 有名な華道のお家元の娘で。 あんなに立派なお屋敷に住んで。 おれなんかと住む世界が違う人だって・・・何度も諦めようと思った。 でも、おれといるときはいつも普通の24の女の子で。 会うたびに、話をするたびに・・・どんどん好きになってしまった。 でも、おれは・・年だってひとまわりも違うし、・・大工だし、」



その言葉にかぶせるように



「そんなこと、ありません・・・。 拓馬さんは・・とても素晴らしい方です。 同じものが・・・きれいだって思える感覚も・・あなたの見るもの知るもの全てが私の胸にも響いてきました。 いつの間にか拓馬さんの側にいたいって・・そう思う自分がいて。 私も・・拓馬さんが・・・大好きです、」



目を潤ませて詩織も拓馬を見つめた。



彼女の告白を聞いても


驚かなかった。



いつの間にか


二人の気持ちが同じことに気づいていたから。



でも


自分がこの扉を開けなければ


このままだったんじゃないかとも思う。



拓馬は彼女の手を握る自分の手に少し力を込めた。




とうとう自分の気持ちを詩織に告げる拓馬。 そして詩織も同じ思いで・・・




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