Surely(12) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

はっきりと返事をしないまま


詩織は部屋に戻った。



着物を脱ぐ気にもならず、ベッドの端に座ってボーっとしていた。



わかっていたけど。



でも・・・・



そこにノックの音がした。



「・・しーちゃん。 さっきお客様においしいお菓子をいただいたのよ、」


杖をついた祖母が立っていた。


「・・おばあちゃま。」





「・・そう。 千崎さんのことを言われたの、」


何だか誰かに相談したくて、祖母に話をしてしまった。



「・・なんとなく、お母さまはそのつもりなんじゃないかと前から思ってました、」


詩織は沈んだ様子で言った。


祖母はふっと笑って


「その顔を見ると。 全く本意ではないようね、」


優しくそう言った。


どきんとした。


「まだあなたも若いのにね。 喜和子ったら焦って・・・・。」


昔から本当に優しい祖母だった。


父が亡くなって、母が家元の仕事が忙しくなり


そんな時はいつも祖母が自分の話し相手になってくれた。


母は行儀作法にも厳しかったが、とにかく祖母は優しかった。



「・・・あたし・・千崎さんとどうしても一緒にならないといけないのでしょうか、」


さっき母には言えなかったことが祖母には素直に口にできた。



「あの人はウチに必要な方だということはわかっています・・・。 でも、」



祖母は孫娘の迷いを優しく聞いていた。



「・・・小さい頃からしーちゃんは。 わがままなんかひとつも言わない聞き分けのいい子だった。 周りの大人の言う事を『ハイ、ハイ』ってお行儀よく聞いて。 あなたはとても素直ないい子に育ってくれたと思うけれど。 あなたの気持ちが一番大事。 家のためと思ってあなたが我慢をしてしまうことは幸せには繋がらない、」



「・・おばあちゃま・・・・」



「『千睦流』を継ぐのはあなたよ。 それはご先祖さまにお約束しなくてはならないこと。 だけど・・・あなたの幸せは別だから。 私はしーちゃんが幸せになることだけをいつも願っています、」


祖母はそっと詩織の手を取った。




お風呂に入って、ルームウエアで寛いでいると携帯が鳴った。


そのウインドウが『彼』からの電話であることを告げている。



「・・・もしもし、」


少し緊張気味に出た。


「あ・・・。 あの。 おれ・・。 白川ですけど、」



もうわかっているのに。



詩織は改まった様子の彼にふふっと笑った。



「引越しが。 今日終わった。 っていうか。 荷物もなんもないんだけど。 ホント寝に帰るだけだし、」


「そうですか。 ・・・寂しくないですか?」


少しからかうように言うと


「えー? ・・・うん、そうだなあ。 ほんとうるさい家だったから。 ・・・静か過ぎて怖いよ、」


思いのほか拓馬は素直な気持ちを口にした。




用事なんかなかった。



ただ彼女の声が聞きたくて。



別に何の約束をするわけでもないのに



1時間も話をしてしまった。


いくら話をしても


尽きることなく会話が溢れて


その気持ちが



会いたい



ってことなんだ。



詩織は自分のこれからを悩みます。 拓馬は彼女とのひとときが本当に楽しくて・・・




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