Surely(9) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「たーくん、これいろぬってー、」


「自分で塗ってみろよ・・・。 ほら、こうして最初にふちどりをするだろ。 そしたら同じ方向に塗って、」


「わーすごい、じょうずー。」



いつものようにふらっと志藤家にやってきた拓馬は


いつものようにななみと一緒にぬりえをしていた。



ゆうこはリビングでアレンジメントの先生から頼まれたウエディングブーケの制作中だったが


何となく彼のことが気になっていた。



「おー、すげー。 きれいだなァ、」


ゆうこに近づいて拓馬はそのブーケを手にした。


「あ、まだ触っちゃダメ。 形が整ってないから、」


それをそっと置いた後、花がまだたくさん残っているのを見た。


「これ、いらないの?」


「え? ああ、うん・・。 いつも多めに貰ってくるから。」


拓馬はゆうこがやっていた作業を見よう見まねで


その花とグリーンを使って、あっという間に小さなブーケを作ってしまった。



「わー! きれい! ねえ、たーくん、それひなたにちょうだい。」


ひなたが飛びついた。


「ほんと・・・。 かわいい。 まったく器用ね。 すぐにこんなの作って、」


ゆうこも半ば呆れるように言った。


拓馬はふふっと笑って


「これはよくできたからウチに持って帰る。 いい?」


ゆうこに聞いた。


「え・・・ああ・・うん、」



家に持って帰るって。


36の独身男が。



思いっきりの疑いの目で見てしまった。



「で。 引越しはいつなの?」


ゆうこはまだ疑ったような面持ちで聞いてみた。



「今度の日曜。」


「・・手伝いに、行こうか?」


「え? いいよ。 荷物なんかそうないし。 だいたいウチから歩いて5分のトコだしさ。」


「そんな近いところなんかに住んで意味あるの? どうせ家でゴハン食べたりしちゃうのに、」


「なるべくメシも自分で何とかしようかなって。 いつまでも親あてにしてらんねーし。 このまんまひとりだったら、自分のことは自分でできないと困るじゃん、」


「ひとりって・・・・」


ゆうこは拓馬が何を考えているのかわからなくなった。


てっきり彼女でもできて


将来のことまで考えての一人暮らしだと思ったのに。




彼女が出てくるのを何となく待ってしまった。


いつもより少しだけ時間が早い。



「あ、おはようございます。」


今日は洋服姿の詩織に少しホッとした。


やっぱり着物姿の彼女は『千睦流』のお嬢さんのイメージで何だか近寄りがたい。


「・・おはよう。」


そして小さな紙袋から昨日作ったミニブーケを彼女にそっと手渡した。


「え・・・」


それを手にした詩織は驚いた。



「昨日、妹の所に行ったらウエディングブーケを頼まれて作ってたから。 材料が余ってたからもう1個作ってみた。 見よう見まねだから適当なんだけど、」



まねただけ、というわりにはきちんとリボンもついていて


まさしくミニチュアだった。


白とピンクのバラを中心にブルーレースや薄い紫色のスイートピーなどで色をあしらってあり


本当にかわいい。



「これを、私に?」


「お花の先生に・・ちょっと恥ずかしいけど、」


拓馬はそう言って照れた。


詩織の表情はぱあっと明るくなって


「・・・いえ・・。 すごくステキです。 色の配分もちょうどよくて。 きちんとバランスもとれて・・・」


思わず『プロ』の目になって言ってしまったあと


「・・ううん。 本当に嬉しいです。 ありがとうございました、」


ただ


彼からのこのプレゼントが嬉しいと思う自分に気づいた。


かわいいブーケのプレゼントに詩織は胸躍ります・・・



人気ブログランキングへ


↑↑↑↑↑↑


読んで頂いてありがとうございました。

ポチっ!わんわん お願いします!


人気ブログランキングへ 左矢印 携帯の方はコチラからお願いしますドキドキ


My sweet home ~恋のカタチ。