Surely(6) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「はあ?」


母がやっと拓馬を見て


父も新聞から彼にギョロっと目を動かした。



「・・やっぱさあ。 いつまでも実家でくすぶってても・・・。 まあ、この近所で部屋探すけど。 一人でやってみよっかなって、」



拓馬は楓にはっぱをかけられて、とりあえずの決心をした。



「なに、いまさら。」



母が気の抜けたような言葉を発した。


「いまさらって・・・」


「自立すんなら。 20代半ばくらいでするでしょう・・・。 この年までここにいてさあ、出ていく時は所帯持つ時じゃないの?」



「はあ?」



一度も自活しろなんて言ったことなかったくせに。


ていうか。


兄貴だってけっこういい年までここに住み着いて、結婚してやっと出て行ったくらいで。




「なに一念発起しちゃって。」


鼻で笑われた。



「悪いかよ! 息子が一人暮らししようってんだから、そこは親として喜ぶべきじゃないの?」



とりあえずグレてた時も


家出だけはしたことがなくて。


父と大喧嘩しても2~3日、友達のところに転がり込んで


何事もなかったかのようにフツーに家に戻って来て。


なんでだか


どんなに父親に腹が立っても


家を出ようとは思わなかった。



拓馬はそこに出ていた残っていた漬物をひょいと口に入れた。



やっぱ。


この母の存在が大きい。



とにかくメシがうまくて。


これが当たり前だと思っていたから、子供のころから友達の家でゴハンをごちそうになると


正直、あんまり食えなかった。


外食さえ、この母の料理に敵わない気がして満足できなかった。


食事だけでなく


掃除や裁縫なんかの家事もカンペキで、古い家だがいつも本当にチリひとつ落ちていない。




悔しいけど



この母を越える女性を心のどこかで求めていたのかもしれない。


30過ぎて結婚した兄貴も


たぶん。




楓に『マザコン』扱いされてムッとしたものの


実は否定しきれない部分もあったり・・・




「ま。 いいんじゃない? 頑張ってみれば? でも大した給料も出てないんだから家賃が高い所は大変だからね。 ホラ、吉岡不動産のおっちゃんに頼んでおきなさいよ。 あそこなら安心だから、」


母だけがベラベラとしゃべって


父はずっと黙っていた。



チラっと目だけを動かして見てみると


また新聞に目を移して、父は普通にしていた。



「・・いいかな、」


一応、そんな父に了解を求めた。



「別に。 36にもなる息子がどうしようと関係ねえ。 一人でやるのは口で言うほど簡単なことじゃねえからな。 あとで泣きつくなよ、」



とりあえずいつものケンカ腰口調だったが


許しを得た。



やっぱり『マザコン』の拓馬でしたが、なんとか独立の許可を得ることができました・・



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