Surely(3) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

途中で寝ないようにしないと



拓馬はコンサートが始まる前にそんなことばかり考えていた。



しかし。


ゆうこが常日頃から話をしていたように


北都マサヒロのピアノは素晴らしく。


クラシックなんか退屈なだけだと思っていた自分の気持ちが覆された。


隣の彼女をチラっと横目で見ると


うっとりと夢見るような表情で彼のピアノを聴いている。




誘ってよかった。



ホッとした。




「CDは何度も聴いていましたけど。 やっぱり実際その場で聴くのとは違いますね。 迫力もあったし、北都さんの優しいタッチもそのまま心に響いて・・・・」


人ごみのホールを出る時も、まだ詩織は感動しているようだった。


「おれも。 寝ちゃったらどーしよって思ったけど。 全然、そんなんじゃなくて。 良かったなァ、」


拓馬も正直にそう言った。


「誘っていただいてありがとうございました。」


詩織は改めて拓馬に頭を下げた。


「や、こんなの! ホラ、妹に頼めばすぐだから! よかったら北都フィルの公演のチケットなんかも融通するし、」


ドキドキして適当なことを言ってしまった。



「いえいえ。 きちんとチケットを買わせて頂きます。 ・・・その時はまた一緒に行っていただけますか、」



雑踏の音に普通に流されそうな会話だった。



「ああ・・・うん、」


拓馬もつい普通に返事をしてしまった。


が。



「・・えっ、」



思わず彼女を二度見してしまった。



「・・・ダメ、ですか。」


そのリアクションに困ったように彼の表情を伺った。



「や・・・。 ぜんぜん・・ダメじゃないけど・・・・」



なにおれってば


上から目線な・・・・



誤解をされないようにと、すぐに



「てゆーか。 いいの? おれなんかと、」



足を止めて彼女に確かめた。



「・・なんか・・・不思議なんです。 こんなに話をしていて楽しい人は初めてで。 私のひとりよがりかもしれませんけど、すごく感覚が合うって言うか。 私がこう思う、ってこともすごくわかって下さっているみたいで。」


詩織はバッグの中からこの前窓辺に置かれたブックマークを取りだした。


「あ・・・」


拓馬は目をぱちくりさせた。



「これ。 拓馬さんが作ってくださったんですよね。 これを見た時、もうなんて感覚をしている方なんだろうって。私が大好きなものがすごくわかって下さっている気がして。 本当に素敵です、」



いつもはのんびりとした口調の彼女だったが


恥ずかしいのか一気にそうまくしたてた。



そして


うつむいた。



ン・・? なにげにコクられてる感じもしますけども・・・



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