Surely(2) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「お母さま、今日は仕事が終わった後にでかけます。 少し遅くなります。」


コンサートの日の朝、詩織は母にそう告げた。


「でかけるの? 珍しいわね。」


詩織は仕事を定時に終えて、いつもまっすぐに家に戻るので思わずそう口にした。



彼女は少し迷ったが


「・・あの。 ピアニストの北都マサヒロさんのコンサートに、」


正直に答えた。


「ピアノの? お友達と?」


別に追求するわけではないが、母は普通に聞いて来た。



また少し迷いつつ


「・・・今うちに来てらっしゃる仕事師さんの。 棟梁の息子さんにチケットを頂いて、」


それも正直に話した。


「え、」


意外な人物の名を言われて、仕度をしていた母は娘に振り返る。


「・・白川拓馬さんです。 拓馬さんの妹さんのご主人が北都フィルの責任者をされているそうで。 その関係でいただきました。 私、北都マサヒロさんは前からファンだったし、なかなか公演のチケットも取れないって評判だったので、」


少しだけ言い訳じみたことを言ってしまった。



「・・・その方と、行くの?」


母の心配が手に取るようにわかって



「とても・・・いい方です。 私と同じで陶芸も趣味でされていて、とてもセンスがいい方です。 最近、よくお話をする機会があって、仕事のことも相談させてもらうこともあります。 すごく参考になって・・・・。 ただ誘っていただいただけだから。 心配をしないで、」



母は少しだけ考えた後


「・・わかったわ。 楽しんでいらっしゃい。」


そう微笑んで許してくれた。



母は躾には厳しかったけれど、自分の交友関係にはあまり口を挟んでこなかった。


母に言われるまでもなく門限はきちんと守っていたし


今までも学生時代の男性の友人に誘われて出かけたことは何度かあった。


男性との交際も、母はとくにうるさくはなかったが


何となく自分は普通の恋愛をしてはいけないのではないかと思ってしまい


自分で自制をしてきてしまった。


交際を申し込まれても


なかなか飛び込んでいけなかった。




「スーツを着て来るべきなのか? こーゆートコは、」


拓馬は自分の格好に焦りを感じ始めていた。


普通にジーンズにスニーカーで来てしまった。


そんな彼に詩織は


「大丈夫です。 ほら、みなさん結構普通の格好で来てらっしゃるし、」


周囲を見て励ましてやった。


「しかも。 よりによって一番きたない靴だったし・・・」


拓馬は足元を見た。


詩織はおかしそうにクスクスと笑った。


「・・なんか。 ごめんね。」


謝る拓馬に


「え、なにがですか、」


本気でなんで謝るのかわからなかった。


「詩織さんにも申し訳ないな、こんなカッコで、」


上品な花柄のワンピースに春らしいコットンの白いストール姿の彼女には


全く似つかわしくなかった。


「そんなこと。 全然気にしていません、」


詩織は静かに微笑んだ。



全く自分の立場に奢ることなく


いや


一般の女性よりもずっと控え目で。



彼女を知れば知るほど


どんどんと惹かれていく自分に気づいていた。



二人とも、引き気味ですがそれとはうらはらに心は・・・・



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