Dear(20) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「ピアノ、コンサート・・・」


詩織はそのチケットを手にして少し驚いたように言った。


「・・妹のダンナが北都フィルの責任者なんだ。 ピアニストの北都マサヒロのコンサートだっていうから・・・よかったら、行かない?」


拓馬は若干緊張気味に言った。


詩織の反応が少し怖かったが、そんな心配もないほど


「ありがとうございます。 クラシックは大好きです。 北都マサヒロさんのことも知ってます。 すっごく話題のピアニストですよね。 行かせていただきます、」


彼女の返事は素早かった。


「よ・・よかった、」


拓馬は本音がこぼれてしまった。


「え、」


「いや・・・。 たぶん詩織さんはこういうのが好きなんじゃないかと思って。 妹の家にチケットがあったから、強引にもらってきちゃったから、」


正直に言って笑った。



「・・・あ・・・はい、」


詩織は恥ずかしそうにうつむいた。



「・・白川さんには不思議に私の好きなものがわかってしまうみたいですね。 いいって思うものが同じというか・・」



完全に意識していると思われる赤面した彼女に


またしても胸が高鳴った。




相手が自分に好意を抱いているというのは不思議に伝わるものだ。


まさに今


彼女からその『気』がひしひしと伝わってきた。




勢いで誘ってしまった。



いいのかなァ



と思わなくはない。


彼女よりも12も年上で


そして


日本でも有数の華道のお家元の娘と


おれは


しがない大工のせがれだ。


父は絵にかいたような職人で。


腕は確かなのだが、とにかく頑固で自分が納得できないと平気で施主とケンカをしたりして


よく仕事をぽしゃってる。


母の話によると、今はまだ丸くなった方で昔は


そのおかげで仕事がなくて大変だったらしい。


家は金持ちか中流か貧乏か


と言ったら


『貧乏寄りの中流』


くらいで。


母はよく洋服の仕立ての内職をしていた。



それでも


兄貴とゆうこを大学まで出してやって


おれは高卒だけど


スゲエなあって思う。



拓馬はどんどんといろんなことを考えてしまった。



「ばかやろう!! これは下から接いでいけって言っただろ!」


今日も父の声がこのお上品な邸宅に響き渡って


申し訳ないくらいだった。



この家にはひっきりなしにお弟子さんが来たり、黒塗りの車もちょくちょくやってくる。


それでも


いつもいつも何も言わずに詩織の祖母が静かに仕事を見守ってくれていた。




拓馬も何となく詩織の気持ちがシンクロし始めていることに気づきます・・・・



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