Dear(19) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「たーくん、これやって、これ~~~、」


涼太郎がブロックを持ってやってきた。


「ひこうきつくろう、ひこうき!」


「え~~、ひこうきかあ・・。 できっかな、」



拓馬はフラっと志藤家にやってきては、夕飯の支度で忙しいゆうこに代わって子供たちの面倒を見てくれる。


「たーくん、ひなたのぬいぐるみの箱つくってくれるってゆったじゃん、」


「わーった、わーった! ちゃんと今度までに作ってくるから、」



子供が大好きで実家の近所の子供と一緒にサッカーをしたり、面倒見が良かった。



「ごめんね。 子守りさせちゃって。 ご飯食べていって、」


ゆうこはキッチンから声をかけた。


「幸太郎はまた遅いの?」


「最近は12時前には戻らないの。 取締役の仕事も増えて、事業部でも来週北都マサヒロさんのコンサートがあるからそのことで・・・・」


「ふーん・・・・」


何気なくサイドボードの上を見ると、封筒からチケットがチラっと見えた。



北都マサヒロのピアノコンサートのチケットが2枚。



それを手にしていると、


「幸太郎さんがあたしに友達と一緒にって言ってくれたんだけど。 ちょっと・・・無理かなあって、」


ゆうこがテーブルを拭きながらその様子に気づいて言った。




ピアノコンサート・・・・・




拓馬はぼんやりと詩織のことを思った。



ぜえったい・・・好きそうだよなあ・・・。



「お母ちゃんにお友達と一緒にどう?って言っておいてくれない?」


その言葉に反射的に



「おれにくれ!」



と、それを手にしてしまった。



「は?」


ゆうこは思わず固まった。



彼がクラシックに全く興味などないことはもちろん知っていた。


以前、北都フィルのチケットを拓馬にどうか、と言った時は笑い飛ばされた。



「どう・・したの???」



兄の顔を思わず覗き込んでしまった。



ギクっとした顔を悟られたくなくて、そっぽを向いて



「や・・・たまには・・・」


涼太郎のブロックを意味なくいじったりしていた。



「・・・・・」



ゆうこの沈黙に背を向けて堪えていた。



「・・まあ。 いいけど。 どうせあたしは行けないし、」



そう言ってまたキッチンに戻った。





「はあ? 拓馬が?」


この日も11時を回ったころ志藤が帰宅したが、ゆうこは堰を切ったように拓馬のことを話した。


「この前も。 お母ちゃんに、自分が結婚しないことについて気にしている感じの話しをしたらしいし・・・。 だいたい、拓馬がクラシックのコンサートに行くって自体がヘンだし。」


彼のスーツに丁寧にブラシをかけながら言った。


「ま。 フツーに考えて・・彼女と行こうと思ってるんちゃうの?」


志藤はネクタイを緩めながらのんきに言った。


「拓馬は自分が興味のないことを相手のために我慢するとかそういう性格じゃないし。 いくら彼女とって思っても・・ありえない、」


妹だけあってゆうこは彼の性格を知り尽くしていた。


「んじゃあ・・・そんだけ本気の相手、とか。」


志藤はくるっと振り向いて謎解きをする刑事のようにゆうこに言った。


「・・そうなのかなァ・・・。 とにかく、今までとはなんだか違うっていうか。 どんな人と付き合ってるのかしら。もういい年だし、付き合うってことは結婚前提って可能性もあるし、」


「なんだかんだ言って。 心配してるなァ、」


志藤はアハハと笑ってバスルームに行ってしまった。



図星を指されてゆうこはちょっとムッとして彼の後姿を見送った。



ゆうこも適齢期の兄を非常に心配しております・・・



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