Today and tomorrow(6) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

沙耶は松葉づえでなんとか立ちあがった。



「だいじょぶか?」



結城は彼女を介抱した。



「うん・・・。 なんとかだいじょぶそう、」



あゆみは荷物を持って処置室を出ようとした。



その時、ベッドの下から手帳のようなものが見えて手に取った。



さっき泉美のバッグの中から落ちたと思われる沙耶の母子手帳だった。



とっさにそれをコートのポケットに入れて部屋を出た。




泉美と沙耶をタクシーに乗せたあと、結城とあゆみが残された。



「・・だいじょうぶかなあ・・・。」



あゆみは心配していた。



「まあ今晩はちょっと痛むかもって言ってたけど。 他に巻き込んでケガする人がいなくてよかったよ・・・」


結城はふうっとため息をついた。


そしてふとみるとあゆみのスプリングコートの袖口に血が付いていた。



「血が、」


それを指摘すると



「ああ・・。 けっこう血が出ていて。 ハンカチで止血したりしているうちに・・・。 もう痛くて泣いちゃって、かわいそうでした・・・」



あゆみは思い出してまた落ち込んだ。



「時間が経ったら落ちなくなるよ、少し水で叩いてみよう。」


結城はあゆみを引っ張ってまた病院の待合室に戻った。





「やっぱ落ちないかなあ・・・・クリーニングのシミ抜きに出してみようか。」


結城は自分のハンカチで落としてみようかと思ったがうまくいかなかった。



「・・いいえ。 安物ですから。 いいんです。」


あゆみは静かに笑った。



「いや。 ウチの責任だから。 これ、貸して。」



結城は自分の着ていたジャケットを彼女に羽織らせて、それを預かった。



「え、いいです・・・そんな、」



あゆみは遠慮したが



「泉美さんにも怒られる。 彼女もそうしなさいってきっと言うから。」



結城は笑った。



「沙耶は。 嬉しくてはしゃいじゃったんだと思う。 もう物心ついたときから母親が忙しかったからね。 きみと買い物に出かけたことが、本当に嬉しかったと思う。」



「・・結城さん・・・」



「おれとも出かけたりはするけど。 やっぱり『お姉ちゃん』のが楽しいよな。」



「あたしも。 渋谷なんかに出かけたのは本当に久しぶりで楽しかったです。 こんなにゆっくりと買い物をしたのも・・久しぶりで。 昼間の渋谷の人の多さに驚きました。 ・・まあ・・・数年前とそう変わってないんでしょうけど、あたしが全然違う時間の中で生きてきたんだなあって。」



あゆみは緊張が解けたようにようやく少しだけ笑顔を見せた。



結城と二人の空間に意識しまくるあゆみでしたが・・・



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