「もう・・・・・ほんっとびっくりした・・・」
泉美は病院の処置室のイスに座り込んでしまった。
「・・ごめんなさい・・・」
沙耶はしょぼんとしてそう言った。
あゆみはたまらずに
「す、すみませんでした!! あたしが悪いんです! 急に声を掛けなかったら・・・あたしがついていながら・・・・」
必死に泉美に頭を下げた。
「・・あゆみちゃんのせいじゃないわよ。 きっとはしゃいでエスカレーターを降りようとしたんでしょう、」
彼女は優しく笑ってくれた。
人ごみにぶつかった沙耶はエスカレーターの段差を踏み外してそのまま落ちてしまった。
その場にいた人たちが助けてくれたが、左足のふくらはぎを切ってしまい5針ほど縫うケガになってしまった。
「・・・沙耶ちゃんの足に傷をつけることになってしまって・・・」
あゆみはもう申し訳なくて申し訳なくてどうしようもなかった。
「あゆみちゃん、謝らないで! 沙耶が悪いんだから・・・。 あゆみちゃんは危ないからって言ったのに、」
沙耶はベッドの淵に座りながら泣きそうな顔で言った。
「でも。 このくらいですんでよかったわ。 エスカレーターで転ぶなんて本当に危ないもの・・・。」
泉美はホッとしてため息をついた。
そこに
「沙耶??」
連絡を受けた結城が顔を出した。
「あ、お兄ちゃん・・」
あゆみは彼の顔を見て少しドキっとした。
「なんだよ・・・転んだの? 危ないなァ・・・。 ケガは?」
「5針縫ったの。 けっこう血が出ていて。」
泉美が説明した。
「・・すみません・・・」
あゆみはまた泣きそうになりながら結城に頭を下げた。
「ああ、きみが責任を感じることないから。 なんだよ・・・エスカレーターから落ちたっていうから。 どうなっちゃったのかと思って、」
結城はホッとして沙耶の頭を撫でた。
「お兄ちゃんも! あゆみちゃんのせいじゃないからね! 沙耶が悪いんだから!」
何も言っていないのにそう縋られた。
「沙耶ちゃん・・・」
「わかった、わかった。 沙耶がおっちょこちょいだったんだろ?」
結城は笑ってまた頭をよしよししてやった。
「ああ、いけない・・・。 看護婦さんに保険証って言われて・・・ええっと、」
泉美は慌てて自分の持ってきたバッグを探った。
慌てていたのでその中身が全部飛び出してしまった。
「あ~あ~、もう慌てて・・・・」
結城はそれを拾ってやった。
「ごめんなさい。 じゃ、ちょっと行ってくるわ。」
泉美は保険証を持って部屋を出て行った。
沙耶のケガはたいしたことありませんでしたが・・・
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