Today and tomorrow(4) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「お母さんとお買い物行くとね、『早く、早く』って。 急いでばっかりなんだもん。 あたしはもっとゆっくり見たいのに~って。」


沙耶は紙袋を抱えながら言った。



「お母さん、忙しいのよ。 お休みの日でもやることたくさんあるだろうし、」


あゆみはさりげなく庇った。



「そーなんだよね~。 いっつも忙しい。 学校の行事にもあんまり来ないし、」



沙耶は口を尖らせた。



あれだけの料亭の女将ともなれば毎日が多忙なのだろう。


その分、沙耶は寂しい思いをしてきたのだろう。


結城は高校生のころから家を出ていたと言っていたし、彼女の話し相手になる家族はいたんだろうか。




あゆみは明るくしている沙耶を見ていると切なくなる。




「ハイ。 さっきの店ですっごくカワイイのあったから。」


沙耶にかわいい髪留めを渡した。


「え、くれるの?」


「・・うん。」


「え~~、うれしい・・・・。」


沙耶は喜んだ後、急に沈んだようになって


「でも。 あゆみちゃん・・・・。 すっごく大変なんでしょう?」


とあゆみを見た。



「え・・・・」



「この前。 ちょっとお父さんとお母さんが話してるの聞いちゃったから。 あゆみちゃん、お父さんとお母さんが事故で死んじゃって。 弟と二人で暮らしてるって・・・・・」



小学校3年生の子にそんなことを言われて。



あゆみは唇をぎゅっとかみ締めて、そっと沙耶の頭を撫でた。



「・・大変なんかじゃないよ。 あたしは・・・ずうっと一人で頑張っていくって思ってた。 でも・・・ほんと・・たくさんの人たちに支えられて。 弟も・・・あたしを支えてくれて。 まだ全然頑張れるって思った。」



そう言いながら、じわっとこみ上げるものがあった。



「・・・お兄ちゃんも・・・?」


沙耶は何かを感じているのか、遠慮をするように結城の名前を出した。



あゆみは目の端に溜まった涙をそっと指で拭って



「・・・うん。 ほんと・・・沙耶ちゃんのお兄ちゃんは・・いいお兄ちゃんだよね。 ・・たくさんお世話になって。 もったいなくて涙が出る、」



笑顔を作った。




「もー。 あゆみちゃん、泣かないで。 お兄ちゃんは。・・・きっとあゆみちゃんのことが大好きなんだよ。 いっぱい助けてあげたいんだよ。」



沙耶は涙を見せたあゆみの手の上に自分の手を乗せてぎゅっと握り締めた。




大好き・・・



あゆみはその言葉を自分の心の中でも唱えてみた。




大好きなのかな・・・



少しずつ少しずつ



彼の存在が大きくなって。




たくさんの買い物をして、沙耶はご機嫌で両手に紙袋を下げたままはしゃいでエスカレーターに向った。


日曜の午後で人がたくさんいる。



「沙耶ちゃん、危ないから走っちゃダメ、」


あゆみは後ろから声をかけた。



「え?」



その声に沙耶が振り向いた瞬間、後ろから来た人ごみにぶつかってしまった。



「あっ・・・・!!!」



そしてあっという間に沙耶はエスカレーターから見えなくなってしまった。



「沙耶ちゃん!!!」



あゆみは思わず持っていた荷物を放り投げて走った。



沙耶が大変??? 急展開です!



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