「・・・さん、結城さんってば!」
呼ばれているのにしばらく気付かなかった。
「・・あ?」
煙草を手にしたまま振り返ると
「珍しいですねえ。 ボーっとしちゃって。 コレ。 早く出して下さいって経理の人が。 昨日渡されたんですけど、」
夏希は計算書のコピーを彼に手渡した。
「・・・あー、うん・・」
何だか昨夜はよく眠れなかった。
むしょうに気持ちがざわざわして、落ち着かなくて。
何かに追われているかのような気持ちになって。
「あ~あ。 日曜だってのに。 なんで仕事なのかなァ。 しかも、こーんないい天気で。 『春さんさん』って感じなのに。」
夏希は窓の外を見て、フツーに口にした。
ボーっとしていた結城は思わず吹き出した。
「なんだよ・・・『春さんさん』って。 ひょっとして『春爛漫』って言いたかったの?」
「は? 『まるはんらん』?」
大真面目に聞き返されて、もうおかしくておかしくて大笑いしてしまった。
「え? なに? 何がおかしかったんですかあ???」
夏希は自分の間違いの自覚が全くなく、彼の肩を揺さぶった。
「あ~~~~、もう。 疲れる・・・・。 加瀬さんはいいよねえ。 悩みとかぜんっぜんなさそうで。」
結城は灰皿に吸殻を押しつけた。
「えー? シツレイですね・・・ あたしだって悩みくらいありますよ!」
「いや。 レベル的には-50くらいの悩みだよ。 いや~、ダンナがきみを選んだわけがちょっとだけわかったよ、」
結城はさっきのコピーに笑いながら書き込みを始めた。
「だからっ! 笑顔でシツレイなこと言わないでください!!」
夏希はひとり憤慨していた。
そのころ。
「わ~~~! みて~~。 これかわいいよう、」
沙耶はあゆみと渋谷に買い物に来て、もう嬉しくて嬉しくてたまらなかった。
「こっちのスカートのが合うんじゃない? ほら、」
あゆみもこうして渋谷で買い物なんか何年ぶりだろうか、と思った。
思えば両親が死んでから、純粋に遊ぶだとか買い物で楽しむだとか
そう思えることがあっただろうか・・・・
試着をした沙耶は
「見て! かわいいっ! このカーディガンも、」
嬉しそうに鏡の前で回って見せた。
「すごく似合うわよ。 今日のシュシュにも合ってるし、」
まるで本当の妹のように無邪気な沙耶がかわいかった。
悩める結城でしたが、夏希は相変わらずです(;^_^A そしてあゆみと沙耶は約束の買い物にやってきましたが・・・ここからまたも『新たな展開』があります・・
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