それからみんな次々やってきたが、一様に普通どおりの斯波を見て
腫れ物を触るかのように接した。
が。
「おっはよ~~!!!」
さすがの南は違った。
斯波を見つけるといきなり近づいて
「あ、もう怒ってやめちゃったかと思った。」
と、ニッと笑った。
みんなもう心臓がバクバクだった。
斯波はふっと顔を上げて南を見た。
そして
「・・・悪かったな、」
非常にぶっきらぼうに言ったので
一瞬、彼が謝ったということがわからなかった。
「え、」
「・・・言いすぎた。」
ようやくそれが彼の謝罪の言葉だということがわかり
なんだか南のテンションも急激に下降し、
「・・や、別に。 あたし、ぜんっぜん気にしてへんし。 今までだって元キャバ嬢だってことでいろいろ言われたし、」
少し後ずさりしてしまった。
斯波は自分の言うことだけ言うと、また寡黙に仕事を始めてしまった。
「なんかさあ、水商売の女に痛い目に遭っちゃったンちゃうのかな、」
南は志藤とランチを採りながら、まだ斯波のことを気にしていた。
「知らないけど。 でも・・・まあ女は苦手って感じやな。 あいつエリちゃんに散々キツイこと言ってたけど、実は彼女が美女すぎて近づくのもゴメンって感じやったし、」
志藤は笑った。
「えー! ほんま?? あんだけのいい男なのに・・・・ひょっとしてこっちかな、」
南はゲイのポーズを真剣な顔でしたので、また笑ってしまった。
南はブロードウエイの舞台をホクト主催で公演する仕事でこちらに来ていた。
2週間ほどの滞在だったが
もちろん仕事も精力的にこなした。
真尋たちのためにしばらく仕事を休んではいたが、NYに戻ってからは真太郎を助けてバリバリと仕事をしていた。
「だから。 ここで仕事すんなっつーの。」
その仕事も事業部のデスクでしている南に志藤は苦笑いをした。
「え~? ここが居心地いいからさあ・・・。 あ、オケの舞台デザインのことで高山さんから電話あったよ。 明日あたし行ってくるよ。」
「こっちの仕事しに帰って来たわけやないやろ。 それはいいって、」
「ええやん。 ここにいるときはここの仕事もする。 ・・・ほんまは早く帰ってまたここで仕事したいねん。 向こうに行って、事業部の仕事がほんまに楽しくてやりがいがあったってわかったし。」
いつもの人をひきつける笑顔で言った。
絵梨沙はコンサートの仕上げに入っていた。
それを知っていた南はそっと彼女たちの練習をのぞきに行った。
「これ。 差し入れ。 桜庭さんも頑張ってね、」
「ありがとうございますー、」
二人にケーキの差し入れをした。
「あ、斯波さんもどうぞ。 斯波さんは甘いものがお好きって聞いたんですけど、」
絵梨沙はそのケーキを来ていた斯波にも振舞った。
「え・・おれは・・」
遠慮をしようとすると
「えー、あんた甘党? そっかあ酒飲めへんねんもんな、」
南にまたズバリと言われてなんだか恥ずかしかった。
「和菓子も好きなんですよねー。 この前食べた豆大福もおいしかったですね、」
絵梨沙は彼に笑いかけた。
『こっち』ではないようですが・・・(^▽^;)
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