Danke~ありがとう(12) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「え、ヴァイオリンとの二重奏?」


絵梨沙は目を丸くした。



「そう。 ウチのオケの期待の星の桜庭ミナと。 彼女はまだ音大生なんやけど、コンクールでもバンバン優勝するような子やから。 来年からパリに留学が決まってるんやけど、その前にユニットでコンサートやろかって話になって。」


志藤がざっと説明した。



「で、エリちゃんと組んでやったらどうかなあって。」


絵梨沙は企画書をジッと見ていた。



「あたしにできるでしょうか、」


またも自信なさげな彼女に



「もちろん。 コレに向けて練習はきちんとしてもらうけど。 コンサートは3月。 ちょっとホールの都合でもう時間もないんやけど。 渋谷で3日間。 エリちゃんなら実力も人気も申し分ないし。」


志藤は励ますように言った。



「あたしはあまり室内楽の経験もなくて、」



「そのためにこれから練習をします。 ・・・あなただってプロとしてやっていた時期があったんだから。 できないということはないでしょう、」


斯波はいつものように書類に目を落としながら少し冷たく言った。



「・・はあ、」


なんだかいちいちドキドキする。


「おれがこの仕事の担当になります。 志藤さんはオケのほうのコンサートのことで忙しいので。 よろしく、」


タバコを灰皿に押し付けて斯波は早々に会議室を出て行った。




なんか


苦手だなあ・・・



絵梨沙はため息をついた。




さっそく室内楽の練習に入った。



「よろしくお願いします。」


ミナはぺこんとお辞儀をした。


まだ19歳の彼女は本当に年よりも幼く見えて、中学生でも通るようにも思えた。


「こちらこそ。 よろしくお願いします。」


絵梨沙はニッコリ笑ってお辞儀をした。



「感激です~。 あたし、ずっと前に沢藤さんのコンサートに行かせていただいたことがあったんです。 ほんとキレイな人で感動しちゃって、」



ピアニストとして頑張っていた時のことを言われると


挫折してしまったことが恥ずかしく思えて


本当はあまり好きではない。



「・・ありがとう。」


静かに微笑んだ。



女性二人のユニットにぴったりの華やかな楽曲が用意された。



「ビゼーのカルメン・・・。」


「やったこと、ある?」


斯波は絵梨沙に言った。



「いえ・・。 オペラを見に行ったことはありますけど、」


「桜庭さんは以前コンサートでやったって聞いてるから。 沢藤さんは他の楽曲もきちんと仕上げてきて。」


いつものようにボソボソと顔も見ないで言われた。




なんか


目も合わせてくれないなんて。



絵梨沙は彼に対する不満が少しずつ出てきた。




斯波に言われたとおり、絵梨沙は竜生を義母に預けてきちんと練習をしてきた。


コンサートからは離れているものの、少し弾いただけで感覚はすぐに戻った。



NYを飛び出して以来


チケットを買ってもらって弾くピアノは初めてで


少し緊張していたけれど。



絵梨沙に久しぶりのピアノの仕事が入りますが・・・



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