Licht~光(8) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「Herr Hokuto! ちょっと取材をさせていただきたいのですが。 よろしいですか?」


オケとの練習に参加するようになって、何故だか急に取材が増えた。



マスコミもこの歴史あるオケがほとんど無名と言っていいソリストを起用したことを話題にし始めた。



真尋の経歴も取り上げられたりと、注目度が上がってきた。



なんだか急に周囲が騒がしくなって、真尋本人も戸惑う。



「シェーンベルグ氏のお墨付きって評判ですね、」


「巨匠の手ほどきはどのくらい受けているんですか?」



と、シェーンベルグとのかかわりについても質問され


それがたびたびだったのでなんだか不自然に感じていた。




日本の事業部にもいきなり取材の申し込みが殺到し始めた。



「これ! 誰か和訳しろ! 読めへん!」


志藤はメールをプリントアウトしたものをかざした。



「南さんしか英語ができる人がいませんでしたからね・・・。 ちょっと秘書課に助けてもらいます、」


玉田がそれを受け取り忙しそうに出て行った。



「どないしたんやろ・・・いきなりウイーンやパリのメディアが動き出して、」


志藤は首をひねる。


「まあ。 ウイーンのアルデンベルグって言ったら超一流ですからね。 注目されるのは必至でしょう。 それにあの巨匠の弟子なんて言ったら、よけいに。」


泉川はため息をついた。


「最近は巨匠も弟子をとってなかったって話は業界では有名だったみたいですからね。」


「うーん・・・」


にわかに騒がしくなってきた。





「・・・すみません、ちょっとだけと思ったらすごく眠ってしまって・・」


絵梨沙は夕方頃起きてきて南に申し訳なさそうに言った。



「いいっていいって。 竜生もめっちゃいい子やったし。 エリちゃん疲れてるんやもん。 夜中もおっぱいで起きるし。 ね~、」


南はベッドの中の竜生に笑いかけた。



「北都のお義父さんとお義母さんにも写真送ってあげたらね。 すっごいエリちゃんに似ててかわいいねって。 早く会いたいって言ってた。」


「そうですか、」


絵梨沙は複雑そうにほほ笑んだ。


日本にはもういつ戻れるのかは今はわからなかった。



「今度、ビデオ撮って送ってあげよう! きっと喜ぶよ!」


南は明るくそう言った。





「うお~~~っ!!!」



真尋はスタジオでピアノの脚に自分の脚を掛けて腹筋をしていた。


相変わらずここで過ごす日が続いている。


家に戻るのは夜中にシャワーを浴びに帰るだけで、食事も絵梨沙と南が交代でここで食べさせていた。



前は病院をよく抜け出していたシェーンベルグも


来ることはなくなった。



一人で来るだけの体力がもうないことを


真尋は思い知っていた。




「は~~~~、」


腹筋を終えて仰向けに寝転んだ。




『ちょっと、いいかげんここんとこのタイミング。 覚えてくんないかな。 全然進歩してないじゃないか。』


『周りの音をちゃんと聴け! おまえひとりで弾いてるんじゃないんだぞ!』



相変わらずオケの風当たりは厳しかった。



練習がストップするたびに、全ての責任を負わされ


敵の中で一人で奮闘しているようなものだった。



「真尋・・・?」


絵梨沙はそこに顔を出した。




たくさんのことに行き詰まる真尋でしたが・・・・


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