Licht~光(7) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

初めてアルデンベルグのオーケストラの面々を顔を合わせた。


マエストロに紹介されて、ペコンと頭を下げると


みな拍手をしてくれたが


一様におざなりのもので。


いったいどこの東洋人なんだ、という空気は否めなかった。



「よろしく。 ずいぶん頑張ってきたみたいだね、」


コンマス一人だけが笑顔で握手を求めてくれた。



真尋はオケと合わせる時にその空気を読み取ることに時間をかける。



すぐに納得できる結果を出せないタイプだ。


この日もパッとしないデキに終わった。




「なんだよ、アレ。」


「シロウト連れてきたんじゃないの。」


「別にあんなヤツじゃなくても、ウチとやりたいってソリストいっぱいいるだろうに、」




音楽院の創立祭でのオケと同じような状況になってしまった。



真尋は練習とシェーンベルグの看病で疲れのピークを迎えていた。



「もう来なくていいと言っているだろう。」


病室に行くとシェーンベルグにむしろ迷惑そうな顔をされた。


「おれが来たいから来てるだけだ。」


腰が痛むという彼の身体を横にしてやり、そこを摩ってやった。




オケのメンバーからは冷たい目で見られ、まだまだ合わせることに模索中という


つらい状況にあったが、真尋はグチをこぼさず一人耐えた。




絵梨沙は竜生の検診で病院を訪れた時に、別棟にあるシェーンベルグの病室を訪ねた。



「・・こんなところに赤ん坊を連れてくるもんじゃない、」


いつものように悪態をつかれたが



「・・ちょっとだけ。 先生の様子が気になって、」


絵梨沙は笑顔を見せた。



この10日ほどの間に


ものすごく衰弱してしまったようで、その姿に胸が痛い。



「・・竜生といいます。 すごく大きい赤ちゃんで抱っこもたいへんで、」


絵梨沙は竜生をシェーンベルグに見せた。



一瞬。



いつもしかめ面の彼の顔が緩んだ。



「あいつは。 家にも帰ってないだろう、」


「え・・・」


「わしのことなんか。 放っておけと言うのに。」



ぶっきらぼうな彼なりの気遣いだと思った。



「・・真尋がしたいようにしているだけです。 あたしは大丈夫。 義姉もいてくれてますし。」


絵梨沙は笑顔で言った。



病室の電話が鳴った。



絵梨沙は受話器を取ってシェーンベルグに手渡す。



「・・・ああ。 一度見に行くように言ってくれ。 他の雑誌記者にも。 音楽院の・・・講師たちにもな、」


なにやら2、3簡単な指示をして電話を切った。



「・・もう。 帰れ。 赤ん坊がいつまでもいるようなところじゃない、」


そして、穏やかにそう言った。



シェーンベルグは苦しみながらも・・・?



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