Leben~命 (12) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

絵梨沙は念のため1日入院することになったが、


その間も真尋は厳しいレッスンを続けていた。



この異国で


一人で初めての赤ちゃんを産もうとしている絵梨沙のことを思うと


真尋も心配なのだが


今はやっぱりピアノばかりになってしまう。





「あ・・南ちゃん?」


NYの南のところに真尋から電話があったのは夜中だった。



「真尋? なんか久しぶりやん・・どないしてん。」



「・・・少しの間。 こっちで絵梨沙のこと見ていてくれないかな・・」


「え、」


真尋からそんなことを言ってくることが少しオドロキだった。



「・・何か、あったの??」


「おれ。 今ピアノのことで頭が一杯で。 絵梨沙ひとりで頑張ってる。 おれの世話を焼くことに精一杯で自分の身体のことは後回しで・・・。 今日、貧血で倒れちゃって・・・」


「えっ・・・」


「絵梨沙のママはすごく忙しいし。 来てもらっても長くはいられない。 南ちゃんなら絵梨沙も安心できるんじゃないかって・・」


真尋の声にも全く元気がなくて



「あたしは・・行きたいけど。 でも、なんかあったの? 心配・・・」



「おれ・・・。 なんもできねーんだよ・・」



すごくすごく寂しそうに


いつもの真尋じゃないみたいで。




「詳しいことは。 また・・・。 ごめん、切るわ。」


真尋は電話を切って、シェーンベルグのスタジオでひとりソファに寝そべった。




毎日


不安ばかりの中で過ごしていた。


シェーンベルグは治療を受けに行くたびに、やつれていくようで。


自分を怒る声も張りがなくなり。


『その日』が確実に近づいているようで、それを感じるのも怖かった。



シェーンベルグは自らオケ部分のピアノを弾いて、オケと合わせるようになっても戸惑わないようにしてくれた。



それも彼の体力を奪っているようで、見ていられないのだが


もう彼の身体を心配することを口にすることは封印しようと決めたので


奥歯をかみ締めるようにそれも堪えた。



絵梨沙は帰ったり帰らなかったりの自分をいつも起きて待ち


いつでも温かいご飯を食べられるようにしてくれて


疲れて彼女にあたってしまうこともあるのに


文句一つ言わずに耐えてくれている。



つらい思いをさせてしまっている。



それはわかっているが、倒れた絵梨沙についててやることもできない自分がもどかしい。





「え・・・エリちゃんが?」


真太郎は驚いたように南を見た。


「そーなの。 なんか真尋もすっごい疲れた声出しちゃって。 もう心配で・・・。 あたし、ウイーンに行ってもいい?」


もう


南は嫌な予感がして彼に縋るようにそう言った。



真尋がウイーンの歴史ある有名オケと競演することはもちろんわかっていて


大変なんだろうとは思っていたものの。



ウイーンの真尋と絵梨沙に何が起きているのか


誰も何もわからなかった。




自分には何もしてやれないことも真尋にはわかっていました。思わずNYの南に助けを求めて・・・



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