Leben~命 (3) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「あいつには。 よけいなことは言うな、」


シェーンベルグはうつむいて小さな声でそう言った。


「真尋は・・何も知りません。 でも、あんなに激しいレッスンをして。 先生が治療で具合が悪いことはわかっていたので、もう・・いつも心配で、」


絵梨沙は少し彼を責めるかのように言ってしまった。



「・・・こうして。 ここに来られるのもあとどのくらいか、」



ポーンと指一つで鍵盤を叩いた。



「え・・・」



「時間が、ない。 少しでも多くあいつに教えたい、」



「先生、」



心配そうな絵梨沙にフッと笑って



「安心せえ。 あいつが本番の舞台に立つまでは・・・死なない。」



悲しい約束をした。




激しいレッスンが続く。



1ヶ月の抗がん剤治療を終えたシェーンベルグは、真尋に毎日スタジオに来るように言った。



絵梨沙はもうそこに行くことは遠慮して、真尋が夜遅くに帰るまでひたすら待った。



「おかえりなさい、」


帰ってくる頃は、もうぐったりして話もしない。



「何か、食べれるの?」


声をかけても、そのままスーッと寝室に入ってベッドに横になってしまう。




その時間と共に、絵梨沙のおなかは日に日に大きくなり


胎動もひんぱんに感じるようになってきた。


しかし真尋はそのことをも忘れているのではないか、と思うほどピアノばかりの毎日だった。




「・・おはよ・・」


ドロドロに疲れきって眠った翌朝、真尋を起こさずにいると10時まで寝ていた。


この日は何も仕事がなく休みだったので、絵梨沙は彼をゆっくりと寝かせてやった。



「・・おはよう、」


絵梨沙は掃除をしながら笑顔で言った。


「あ~~~、すげえ寝た・・・」


「ごはんにする?」


と笑顔で問いかける絵梨沙をまじまじと見た真尋は


「・・・あれ?」


と言った。


「え?」


「・・・なんかすげーおなか大きくなってねえ?」


やおら彼女に近づいておなかに触れた。


「・・そお? でも、もう6ヶ月を過ぎたから・・・。」


「こんなにおなか大きかったっけ?」


「真尋が気づいてなかっただけよ。 もう動いたりするし、」


絵梨沙は呆れて笑った。


「え! そーなの!? そっかあ・・9月には生まれんだもんな・・・。 あ~~~、時間が過ぎるのが早い、」


久しぶりにのんびりとした朝だったが


「・・メシ食ったらスタジオ行ってくる、」


「え。 朝から?」


「うん・・・・」


真尋も必死だった。



赤ちゃんも順調に育っているようですが、真尋はそんなことも忘れたかのようにピアノに打ち込みます。


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