Leben~命 (2) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

シェーンベルグは杖を思いっきり、真尋に向かって振り下ろした。


真尋は仁王立ちをするように怯むことなくそれを受けた。



「キャーっ!」


絵梨沙は驚いて思わず目を瞑った。



おそるおそる目を開けると


シェーンベルグを見据えた真尋の左頬から血が流れていた。



しばらくにらみ合いが続いた後



「・・・本気でやれ。 全然気持ちが入っていない、」


シェーンベルグは恐ろしいほどの目で真尋を見た。



「・・おれはいつも本気だ、」


真尋は流れてくる血を拭うこともせずに、目も逸らさずにそう言った。



「時間がない。 続きをやれ、」




『時間がない』



その言葉の意味が絵梨沙にはすごくすごく深く思えて。



とても二人の間に入っていけない気がした。




「・・大丈夫?」


家に帰り頬の傷の手当てをした。



「・・別に。 野球部のときは理不尽なことで先輩に殴られたし。 こんなの何でもねーよ、」


真尋は絵梨沙が手当てをしてくれてもブスっとしていた。



「・・急に。 おかしくなっちゃったみたいで。 なんなんだあのジジイ、」



真尋も


シェーンベルグの異変にうっすらと気づいているようだった。



「・・前からうるせージジイだって思ってたけど。 『皇帝』の練習を始めてから、ワケわかんないことも言い出すし。」



絵梨沙は何も言えなかった。



「・・絵梨沙は。 もう来なくていいよ。 なんか胎教に悪そうだし、」



彼らを見守らなくては


と思う半面、その場にいることがつらいのにも変わりなく。



仕方なく小さく頷いた。




レッスンのない日、絵梨沙はスタジオをそっと覗いた。



珍しくシェーンベルグがピアノを弾いていた。



そこに慌てて入っていく。


流れてきたのは


まぎれもなく『皇帝』だった。




すぐに絵梨沙に気づいて



「・・なんじゃ、」


いつものように面倒くさそうに言った。



「・・ムリを、しないで下さい。」


絵梨沙は小さな声で言った。



「・・・・」


また黙ってピアノを弾こうとしたので、



「あたし。 カタリナから聞きました、」


そう背中に呼びかけると、手が止まった。



そしてゆっくりと絵梨沙に振り返る。



「・・・先生の病気のことを。 ・・心配なんです、」



震える声で言った。




巨匠の厳しいレッスンに真尋は立ち向かいますが・・・


My sweet home ~恋のカタチ。






↑↑↑↑↑↑


読んで頂いてありがとうございました。

ポチっ!わんわん お願いします!


人気ブログランキングへ 左矢印 携帯の方はコチラからお願いしますドキドキ


My sweet home ~恋のカタチ。