Leben~命 (1) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「ったく。 最後は声が枯れるまで怒鳴り続けやがって、」


真尋はようやく帰ってきて一息ついた。



シェーンベルグの様子がいつもと違うことに彼も気づいているようだったが


絵梨沙は『重大な秘密』を抱えてしまい


ものすごく心が重かった。




「ちゃんと。 暗譜はしていったほうがいいわ。 先生は・・誰にも感化されないあなたの『皇帝』を聴きたいんじゃないかと思うから。」



目を合わせると動揺してしまいそうなので、彼に背を向けながら言った。



「わかってっけどさ~~~、」


いつものように文句を言いながらも楽譜をテーブルに広げた。




ただでさえ


あの大きなオケと合わせるプレッシャー。



先生の『思い』を知ったら


きっともっともっと苦しくなる・・・



絵梨沙は真尋の気持ちを思った。




たぶん


先生も彼にはこのことをできるだけ知られたくないと思っているのだろう。


憎まれても


恨まれても


彼をあの大舞台に立たせて、


喝采を浴びる彼だけを思い。




気が緩むと涙が出そうで、絵梨沙はしっかりとその元を締めていた。





公演まであと半年。


しかし


彼にレッスンができる時間がもっともっと短い、と知ったシェーンベルグは


ギアをトップにいきなり入れたように彼に厳しい指導を始めた。




週3日だったレッスンが


病院での治療の関係か2日になった。



その分一日のレッスン時間は相当長くなる。



絵梨沙はカタリナから治療の様子などを逐一電話を受けながら、シェーンベルグの様子にも気を配った。



普通は入院しながらの治療を通いでするので、身体がきつそうだった。


抗がん剤の点滴を打った翌日は


あきらかに座っているのもつらそうで。



「先生、少し横になったらどうですか、」


絵梨沙はそっと彼に言った。



「・・・かまわん。 横になったら音が体に感じられない、」



たぶん彼にしかわからない感覚があるのだろう。





ある日。


あまりに厳しいシェーンベルグの指導に真尋はキレた。



「ちゃんとやってんじゃん! 何が気に入らねーんだよ!!」



確かにきちんとできているようなのに・・


絵梨沙はそばで見ていてハラハラした。



「サルでもわかるようなことを何度も言わせるからだっ!!」


シェーンベルグも負けずに言い返す。



「サルじゃねえ! おれは人間だっ!!」


真尋がすごい形相で食って掛かるようにシェーンベルグを見下ろした。



その時・・・



絵梨沙は思わず息を呑んだ。



真尋に真実を告げられない絵梨沙はそのはざまで苦しみます・・・・



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