そのころ
日本では。
「は・・・家建て直すってなに?」
久々に実家に戻った真尋は大きな茶碗で山盛りのゴハンを食べながら母の話を聞いていた。
「だから。 ここも古いでしょう? もう50年以上経つし。 思い切って建て直ししようかってことになって。 それで!」
母は嬉しそうに真尋の隣に座った。
「真太郎と南ちゃんが一緒に住んでくれるって言うのよ、」
「へー。」
全く興味なさそうに真尋は豚のしょうが焼きに手をつけた。
「1階にあたしたちが住んで。 2階に真太郎たちが住むの、」
「へー。」
同じ答えをした。
「その話になったとき。 真尋とエリちゃんの家も3階に作ったらどうかって!!」
ゴハンをごっくんと飲み込んだ後、慌ててお茶でさらに流し込んだ。
「はあ!?」
今度は平静でいられなかった。
「だって、あなたたちだって日本に戻ることもあるじゃない? 帰る家くらいないと~。」
母はテーブルに肩肘を着いて言った。
「・・そんなの! 別にこっちにマンション借りればいいだけじゃん、」
「もったいないわよ! そんな時々しかいないのに。 それに・・・赤ちゃんも生まれることだし! そしたら何かと都合がいいじゃない。 エリちゃんだっていづれはこっちで仕事ってこともあるかもしれないし。 そうすればあたしも赤ちゃん預かれるし。」
母は夢見るように言った。
「なんだよ3世帯同居って! やだよ! そんなの! プライバシーがなくなる!!」
真尋は必死の抵抗をした。
「プライバシーったって。 玄関は別にするし。 3世帯入るマンションだと思えばいいのよ。 真也さんのお友達の建築士さんにうまいこと頼んであるから! そうそう。 地下にピアノの練習室も作れるよねって南ちゃんたちとも話していたのよ、」
「・・勝手に!」
いきなり3世帯同居の話が進んでいるのに驚いた。
「ま、別に。 おれら向こうが拠点だし。 こっちはほとんど戻らねえからいいけど、」
真尋はこのとき適当に返事をしてしまったが。
この後の展開は全く読めていなかった・・・。
マリーの熱はこの日の夕方には下がりつつあって、ホッとした。
その時、まだ4時だというのにレオが帰宅した。
「今日は早く帰らせてもらったよ、」
と笑ったが
「お仕事は、大丈夫ですか?あたしのことなら気にせずに・・・」
絵梨沙は心配になってしまった。
「ぼくが。 心配で仕事が手につかない、」
彼は苦笑いをしてジャケットを脱いだ。
小さな子供を抱えて
男の人が仕事と両立させるのは大変だろう。
絵梨沙はすぐに子供部屋に様子を見に行ったレオの後姿を見て思った。
東京では北都家の大改築の計画が進められていました・・・
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