Ein Traum~夢(8) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「・・それは・・すごいですね、」


話を聞いた真太郎もやや気押され気味に言った。



「コンクールの後もぼちぼち仕事はありましたけど・・・ここまで大きな仕事は初めてやし。 極端すぎる、」


志藤もことの展開に戸惑いを隠せなかった。



「シェーンベルグ先生の計らいでしょうか、」



「そうでしょう。 あの人はおそらくウイーンの音楽関係者にかなり顔が広い。彼が手ほどきした一流ピアニストだってほんと数え切れないくらいいるんです。 でも・・その中から真尋を選んでくれたってことが・・・もうすごいことなんですが。」



巨匠の計らいは本当に光栄なことだが


とにかくいきなりなので会社的にも色んな準備をしなくてはならず、志藤は朝からバタバタしっぱなしだった。



「ま。 これもオーディションがうまくいけば、の話です。」



最後はそう言って自らをも落ち着かせようとしていた。





「で。オーディションってなにするの?」


真尋はシェーンベルグに尋ねた。



「さあ、」



たったふた文字の返事が返って来てコケそうになった。



「さあって・・こっちにだって準備が必要じゃん、」


「おまえは別に準備なんかいらん。 この前の続きからやって、」



巨匠はいつもどおり、特に気負うこともなく真尋に言った。



時を同じくして東京の事業部にアルテンベルグ管弦楽団から問い合わせがあった。



「つまり。 真尋のこれまでの経歴を詳しく知りたいってことみたい。 メディアがあったら全て送って欲しいって言うんやけど、」


南はそのメールを見て言った。



「メディア?」


志藤はそれを覗き込んだ。



「ホクトのデビューコンサートのものとか・・あとはライヴを撮ったものとかあるけど、」



しばし考え込んだ志藤は



「とにかく。 真尋に関する映像は全部集めて。たぶん向こうは真尋のことは何も知らない。 ・・できればウイーンでのライヴのものもあればいいけど・・。」


「コンクールの決勝のコンチェルトのものも・・・。 問い合わせてみる、」


事業部もにわかに忙しくなった。




絵梨沙も嬉しい半面、心配もあった。



本人はサッカーの試合なんかテレビで見たりして、暢気にしているけど・・・



「やったっ!! すげえゴールだなあ、しかし!!」




アルテンベルグからのオファーなんて


想像を超えたスケールのもので。



一流どころでもなかなか競演なんかできないのに。



以前、母が言っていた言葉を思い出す。



『今後、彼が仕事をするようになったら。 看板は必要になってくる、』



その意味がすごくよくわかる。



アーティストはたくさんの人達の目に触れて、そして評価をたくさんされて


育てられていくもので



真尋はまだまだその域に達していない。



そして


オーディションの日。


アルデンベルグの本拠地であるサンヴェレーデハウスまで、真尋は一人でやって来た。



「はじめまして。 私が音楽プロデューサーを勤めますカール・エドフォルグです。」


一人の紳士が笑みをたたえながら握手を求めてきた。



「・・こんちわ、」


真尋はいつもと同じようにものすごい普段着でやって来たので、彼は怪訝な表情をした。



さて。


いよいよオーディションになりましたが・・・・



My sweet home ~恋のカタチ。






↑↑↑↑↑↑


読んで頂いてありがとうございました。

ポチっ!わんわん お願いします!


人気ブログランキングへ 左矢印 携帯の方はコチラからお願いしますドキドキ


My sweet home ~恋のカタチ。