「・・・日本の・・・ボスに聞いてみていい?」
まるで
友達の家に泊まるのを親に聞いていいか、というような調子と同じように真尋はシェーンベルグに言った。
それがおかしくて
「いいけど、」
彼はフッと笑った。
とっても
ひとりで判断することができなかった。
いくら真尋でも、アルデンベルグとの競演が
とてつもないことだということはわかっていた。
音楽院の頃、マエストロ・シモンに連れられてNYでコンチェルトデビューはしたが
正直
スケールがかなり違う。
オーストリア、いや
世界の全てのリスペクトを受ける最高峰のオケなのだ。
絵梨沙にも話す前に
真尋は疑心暗鬼なまま日本の志藤に電話をした。
「・・今・・・朝の4時なんやけども???」
ものすごい不機嫌に電話に出た彼に構わず
「ねー、どうしよう。 なんかジイさんが『アルデンベルグ』のピアノコンチェルトの仕事、取ってきちゃって・・・・」
志藤は早朝から起こされ、全く頭が働かなかった。
しばしの沈黙。
「聞いてんのかよ~~、」
痺れを切らして真尋は文句を言った。
「あ、ごめん。 今、なんつった?」
「だから。 ジイさんが。 アルデンベルグ管弦楽団の秋の定期公演のピアノコンチェルトのソリストにおれを推してくれたってこと、」
じわじわとそれが現実となって志藤の体中を包んだ。
「えっ!!!」
「なんだよ、時差かよ。 ウゼーなあ・・・。 で、いちおう志藤さんに相談しよっかなって、さすがのおれも考えて、」
これまで
小さなホールでコンサートは何度もあった。
日本でだって真尋のコンサートは人気があっていつも満員だ。
しかし
いきなり世界でも1、2を争うオケと競演か?となれば
大変なことになる。
「き、決まったってこと???」
志藤は声が裏返りそうだった。
「ううん。 なんか明後日オーディションに来いだって。 そりゃそーだよね。 おれのこと全然知らないとか言うし、」
真尋はまだまだ暢気だった。
まだ3月も半ばだというのに
志藤は汗が吹き出てしまった。
「まー、とりあえずそのオーディションに行ってくる、」
真尋は自分でもまだ実感が沸いていないようだった。
明けましておめでとうございます。今年も『My sweet home~恋のカタチ。』よろしくお願いします!
さて
真尋は巨匠が持ってきた超有名オケとの競演話を志藤に告げますが、いきなりの展開に彼もオドロキで・・。
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