思ったとおり。
絵梨沙は涙に暮れていた。
「・・・あたしも。 もう何て言ってエリちゃんを慰めようかって・・ずうっと考えてて。 こーやって泣いたりしてる姿も想像して、こっちが悲しくなってしまって、」
南はうつむいた。
「・・・真尋は・・・音楽院のころも・・・けっこう女の子とフツーに食事に行ったり・・・そういうことがあって。 あたしが不満そうに・・文句を言うと・・・だって友達だからって・・ケロっとして。 怒るのもバカバカしくなるくらい・・あっさり言ってくれちゃって・・・。 でも、こういうことは・・・なかったって信じたいのに。」
絵梨沙は色んなことを思い出したのか、またシクシクと泣き出してしまった。
「あたしも・・真尋はあんなやけど、すっごい優しいし男気あるし。 義弟としても男としても、好きやけど。 今回のことはほんま理解に苦しむというか・・・。 真尋はエリちゃんのことは絶対に本気やし。」
南は彼女の薬指に光る指輪を見た。
「その指輪やって。 もちろんエリちゃんとの将来のこと考えて・・・、と思うし。 ほんまな~~~、アホやから。 間違っちゃったんやろなあって・・・」
南も、もう真尋をどうフォローしていいのかわからなかった。
「もう・・いいです・・・。 あたしなんかいなくても・・・あの人はぜんっぜん生きていけるし。 あの人にとってあたしは全てじゃないってわかりましたから・・・」
絵梨沙はハンカチを握り締めて、悔しそうにそう言った。
「だから。 ね、ちょっと落ち着こう。 ・・明日はコレ、世の中に出ちゃうから。 人気モデルだけにたぶんマスコミもほっとかないやろし。 ・・・つらいと思うけど、」
「・・もう、いいんです、」
投げやりになる絵梨沙に
「あのね。 あたしの気持ちは・・・もうエリちゃんは『妹』以外のなんでもないねん。 真太郎だって・・お義父さんもお義母さんも。 エリちゃんは家族とおんなじやって思ってる。 そんな簡単にあたしたちの絆が切れるなんて思いたくない、」
南は優しく彼女の背中に手をやった。
「・・南さん・・・」
絵梨沙はその優しさに、また泣いて南に抱きついた。
翌日。
それは世に出てしまった。
もう朝からテレビのワイドショーでも取り上げられたりして、否応がなしに耳に入ってくる。
相手の浮田沙希は芸能レポーターたちの突撃取材を受けても
「彼とは仲のいい友達です、」
と、笑顔で切り替えしたりして
真尋サイドはもうどうしていいかわからない状態だった。
「・・友達でも・・なんでもねーし・・・」
真尋はゆうべ一睡もできずに、ボーっとテレビを見てボソっと言った。
「友達やないなら。 ちゃんと言い訳したら、」
南が横から口を出すと
「・・そんなの・・・。 おれが彼女とは全く関係ねーとか言ったら。 じゃあ、この写真はなんだったんだってことになるだろ~~~? いい訳にならねーよ、」
もう逆ギレ状態だった。
今日は渋谷でミニライヴがある。
もう何もかも投げ出して逃げ出したくなった・・・・・。
初めて
テレビカメラに追っかけられるという事態に陥り
「北都さーん。 沙希さんとはそういうご関係なんですよねー?」
「いつからのおつきあいなんですか~?」
「お父さんは何かおっしゃっていましたか??」
好き勝手な質問が移動中の彼に飛ぶ。
「すみません、ちょっと通してください、」
つきそった玉田は一生懸命に彼らを遮った。
ほんと・・・
相手は考えないと、だなあ・・・
じゃなくて!
ほんっと、おれってバカ・・・
真尋はもう『後悔』以外のなにものでもないものにとらわれていた。
絵梨沙はもうショックで打ちひしがれています。世間でも騒ぎになって真尋は・・・
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