Zwei~ふたり(8) | My sweet home ~恋のカタチ。

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そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

食後


真尋は自室のピアノでいつものように指を馴らしていた。



視線を感じて振り向くと、マリーがじーっと見ている。



「・・なんだよ、」


鬱陶しそうに言うと、



「ほんと。 すごーい。 どーしてそんなに指がうごくの?? あたし先生にならってもぜんぜんできない、」


マリーは素直にそう言った。



「どーしてって・・おまえ。 おれ、いちおうプロだぞ、」



「もっとみてていい??」


マリーは食いつくように真尋に近づいた。




絵梨沙は買い物から戻って来た。


すると、ピアノの部屋から声が聞こえてくる。


そおっと覗くと、



「だからさあ・・・こうだろ??」


「えー。 できない~~。」


「できないじゃねーよ。 よく見てな、」



真尋が自分の膝の上にマリーを乗せて、ピアノを教えている。



「バカだな~~。 おまえ、今やったばっかじゃん・・・。 学校の勉強もできねーだろ、」


「うん。 勉強はね~、キライ! おもしろくないから、」


「おれも勉強だいっきらいだった。 でもさ。 大人になればこうやってなんとかなるもんだ、」



あんなに鬱陶しそうだったのに。



絵梨沙はクスっと笑ってしまった。



彼は子供だからと言って、上から見るようなことはしない。


同じ目線で


まるで同い年の子供のように。




3人で昼食を採った後、公園に散歩に行った。


マリーの家は真尋たちの住まいから歩いて10分ほどの距離で


生活圏がほとんど同じのようで、彼女はいつものように楽しんでいた。



「あ! みて! マ・・・マサイ・・・・、」


マリーは真尋の名を呼ぼうとしたが、上手く言えない。



「・・マサ、だよ。 こっちの人は『マサヒロ』がうまく発音できないみたいで。 みんなそう呼ぶ、」


真尋は優しくそう言った。



「マサ! きれいな花だよ!」


マリーはすっかり真尋に懐いてしまった。




公園で走り回って疲れたのか、そのままマリーは真尋の家のソファで昼寝をしてしまった。



「子供がいると。 体力つかうな、」


彼女の寝顔を見ながら真尋は言った。


「ほんとにマリーは素直でかわいいの。 最初は生意気だって思ったけど、お母さんがいなくても本当に明るいし。」


絵梨沙も微笑んだ。



「あなたは子供が好きなのね。 知らなかった、」


「はあ? おれ?」


「すごく。 自然にマリーに接してた。 ピアノを教えるのも上手だったし、」


ふふっと笑った。


「まあな~~。 子供ってすごい勢いで教えたこと吸収してくよな。 大人じゃ、こうはいかない。 そりゃそうだよな、まだ7年しか生きてねーんだもん。 なんも知らねえんだもんな。」


真尋はマリーが寝ている横に座って天井を見た。



「ジイさんなんかもう自分が思ったようにできねーと、あの杖だか凶器だかわかんねーやつで人のことバシバシ叩くしよ~~。 おれは野球部で体罰も慣れてるけど。 あんなのピアノしかしらねえヤツがやられたら1日で逃げ出すよ。」



この前のシェーンベルグの言葉を思い出した。



『もっと、もっとと思ってしまう・・・』



きっと



先生にとってあなたもマリーのような子供みたいに真っ白に見えるのよ・・・。



口には出さなかったが、絵梨沙は二人の日常を想像して自然と顔が綻んだ。



すっかり打ち解けたマリーと真尋。 絵梨沙はシェーンベルグのことを思い出します・・・


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