Zwei~ふたり(7) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

掃除に夢中になっていると、ピアノの音が聞こえて驚いて振り向く。



シェーンベルグがピアノの前に座っている。



先生が・・・・



初めて彼が弾く所を見て驚いた。



リストのメフィストワルツ・・・



80近い老人が弾いているとは思えぬ、音の響きだった。



指の動きもしっかりしていて、ミスもない。



徐に弾くのをやめた彼に



「・・素晴らしいですね、」


絵梨沙は声を掛けた。



「何十年前に弾いたきりの曲も。 手が覚えているもんじゃ。 わしは胸を患ってピアニストの道を諦めた。 激しい曲を弾くと、息が上がってどうしようもなくなった。 でも、なかなか身体が忘れるもんじゃないな、」


シェーンベルグはふっと笑った。



「自分で弾けなくなると。 理想ばかりが高くなる。 もっと、もっと、と追い求めてしまう。」



そうやって


真尋のピアノを創り上げていったのか。




まだ出会って間もない二人の間に


なんだか入り込めない気がした。





「明日はお休みだから、パパとお出かけ?」


絵梨沙はマリーと手をつないで歩いていた。


「明日、パパお仕事なんだって。 だからひとりでお留守番・・・つまんないな、」



休みの日もひとりなのか・・


かわいそう。



絵梨沙はなんだか切なくなった。



「え、エリサの家に??」


レオは帰ってきて、話を聞いて驚いた。



「もしよかったら。 おあずかりします。 明日は別に用事もないし。」


絵梨沙はにっこりとほほ笑んだ。


「でも・・・」


ためらう父親をよそに


「明日、エリサのおうちに行くの!? やったー!! 何持っていこうかな。 スケッチブックと~~、」


マリーは大喜びでもうバッグに支度をし始めた。



「・・いいの? 彼もいるんでしょ、」


レオは遠慮がちに絵梨沙に言った。



「大丈夫です。 ご心配なく、」



絵梨沙は笑顔で言った。





「って! 意味分かんねーし! なんでここにこのクソナマイキなガキがいるんだよ、」


前の日、仕事で遅かった真尋は朝起きるとリビングでマリーがパンを食べていたので


思いっきり指をさして言った。



日本語だったので、マリーは知らんぷりでそのままパンを食べ続けた。



「今日、レオさんお仕事なんですって。 ひとりで夕方までかわいそうじゃない・・・。 今日はあたしも家の片付けくらいですることないし。 いいじゃない、」


絵梨沙は洗濯を終えて言った。



「も~~~、けじめつけろよ~~~。」


頭を掻きながらドカっと椅子に座った。



マリーはじーっと彼を見て、袋から1つパンを取り出し


「・・これ、食べれる? あたしとおんなじやつだけど、」


と手渡した。


それを受け取りつつ、



「・・・だからさ。 おれ、人間だから。 おまえとおんなじモンは食えるっつーの!」



その真尋のリアクションに絵梨沙は大笑いしてしまった。



マリーにタジタジの真尋でしたが・・・



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