Zwei~ふたり(5) | My sweet home ~恋のカタチ。

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そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「ベヒシュタイン?? 聞いたことない・・・」


真尋はピアノを撫でた。


「ドイツでは有名よ。 でも、すごく年季が入っていそうな、」


絵梨沙もピアノをじっくりと見た。



「それは妻のおばあちゃんが使っていたものでね。 ずっと大事にしていた。」



真尋はおもむろにピアノの蓋を開けて、いきなり弾きだした。



「ちょ、ちょっと真尋、」


絵梨沙は止めたが、それに構わず真尋はどんどん弾きだしてしまった。



リストの『愛の夢 第3番』



その音に


マリーもレオも、そして絵梨沙もフリーズしてしまった。




もう


一瞬で周囲の空気をさらってしまう。




アンナ・・・



レオは亡き妻のことを思い出してしまった。



気がついたら


1曲弾き終えてしまった。



「すごい!! ゴリラのひと!!」



マリーはもう目を真ん丸くして拍手をした。



「だからさ。 ゴリラはひとじゃねーぞ!」


真尋は相変わらずだった。



レオも拍手をして



「すごい。 ぼくはきみの演奏を初めて生で聴いたけど・・・。 フランツがいつもそれはそれは素晴らしいって言ってた。 もう・・胸がいっぱいになって・・・」


言葉を詰まらせた。



たぶん


亡くなった奥さんのことを思い出しているんだろう・・・



絵梨沙は壁に掛けてあった彼の妻の写真を見ながら思った。




「すごくいいピアノだね。 鍵盤の馴染みもすげーいい! ・・・でも、ちょっとコレ、狂ってるかも。」


真尋はひとつの鍵盤をポーンと叩いた。



「え・・・」


「せっかくのいいピアノなんだから、マメに調律してもらわなくちゃ、」


真尋はニッと笑った。



マリーが弾いても、その音の狂いがわからなかった。



「エリサ。 きみはこんなピアノがいつもすぐそばで聴けるんだね。 本当に羨ましい・・・・。 ぼくもマリーもきみにはずっといて欲しいけど・・・。 やっぱり彼がウンと言わなかったら、やめるべきだと思うよ、」



レオは優しくそう言った。



しばしの静寂。



するとそれを打ち破るように



「・・・って! おれがダメっつったら、ダメになっちゃって、悪モンじゃん!! きったねー!!」


真尋のうるさい声が響き渡った。



「もー・・・ほんと声がうるさい・・」


絵梨沙は迷惑そうに言った。



「ま。 絵梨沙が気が済むまでやるっきゃねーけど。  どうせおれの言うことなんか聞かないだろーし、」


最後は諦めたように言った。



「真尋・・・」


絵梨沙は何だか胸がいっぱいになった。



「ぼくも早く帰れるようにきちんと仕事をするから。 エリサにゴハンを作らせたりなんて、ちょっと図々しかったと思ってる。 きみとの時間を削ってまでウチに居てくれるのは申し訳ないからね。 エリサもそのへんを考えて、」



レオは大人の意見を言って笑った。



真尋のピアノにレオもマリーも大感動でした・・・



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