絵梨沙はマリーの世話をすることが本当に楽しかった。
今日は夕飯はなににしようかしら。
あの子は野菜があまり好きじゃないみたいだから、少し細かく刻んでオムレツに入れてみようかな。
買い物をしながらもマリーのことを考えた。
「ねーねー。 エリサ~。 エリサはピアニストだったの? ママとおんなじ・・・」
一緒に洗いものをしているときに
いきなりそう質問されてドキンとした。
「え・・う・・うん、」
作り笑顔で言った。
するとマリーはぱあっと明るい顔になり
「ねえ! あたしもピアノをならっているんだよ。 いっしょに弾こう!」
と、張り切って言われた。
「・・・・・」
どう言い訳をしていいのか、迷ってしまった。
「ねえねえ~~、」
尚もねだるマリーだったが
「マリー。 無理を言っちゃいけないよ。」
いつのまにかにレオが帰って来ていた。
「あ、パパ!」
いつものように彼女は父に抱きついた。
「エリサはピアノを弾くためにマリーの世話をする仕事をしているんじゃないんだよ。 ピアノを仕事にしている人はね、むやみにプライベートで弾くもんじゃないんだ。」
そして大人に言うように彼女にきちんと説明していた。
「そうかあ・・・・。 ざんねん。」
マリーはがっかりしたが、すぐに聞きわけてくれた。
「今日はきちんと日記を書いたのかい? また先生に怒られるよ。」
「はあい。」
マリーは自室に戻ってしまった。
「・・・すみません、」
絵梨沙は手を拭いて彼に謝ってしまった。
「え、なんで謝るの?」
「・・・あの、あたし・・・」
絵梨沙が自分のいきさつを打ち明けようとすると、
「何も言わなくていいよ。 ぼくはべつにフランツから何も聞いていないけど、一流のピアニストだったきみが今こうしてシッターのアルバイトをするのは、よほどの理由があると思っている。 それがつらい理由なのなら、ぼくは別に聞かないよ、」
と、にっこりほほ笑んだ。
すごく
すごく
心が軽くなった・・・・
レオは絵梨沙の事情を知らないはずなのに、温かい気持ちで接してくれます・・・
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