Lebe für Liebe~愛に生きる(20) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「あたしは。 今は・・・ピアニスト沢藤絵梨沙ではありません・・・。 ピアノが、弾けないんです、」


話さなくてもいいと言われたのだが


彼の口調があまりに優しく、つい自分のことを話してしまった。




「…妻もね。 ピアニストとして行き詰まってしまって。 自律神経失調症になって。 辞めてしまったんですよ、」



レオはさらにそう話を続けた。



「え・・・」



「本当に厳しい世界ですから。 疲れてしまったんでしょうね。 そしてぼくと結婚する道を選んでくれました。 ちょっと複雑なんですけど、」



ふっと微笑む彼の言葉に今の自分が重なった。



「一流ピアニストになるためには、もう・・全てを犠牲にするくらいの気持ちがないと無理です。 ピアノだけじゃなくこの世界で極めようと思ったら、家庭を持つこともなかなか難しいでしょう。 特に女性にとっては苛酷な職業だ。

彼女はナイーブな人でね。 なによりピアノを愛していたけど・・・現実は厳しかった、」



胸が痛い。



「彼女と結婚して。 すぐにマリーも産まれましたが・・・・。 突然、心筋梗塞で倒れてね。 あっという間でした。ぼくは悲しむ暇さえなかった、」



レオはリビングのいすに腰掛けた。



「妻は幼いマリーがピアノを弾くと嬉しそうでした。 でも、『女の子だからピアノは楽しむだけくらいがいいわね、』といつも言っていましたから。」



絵梨沙は無言で温めたシチューを彼に差し出した。



「・・ありがとう。 きみはピアニストなのに料理がすごく上手なんだね。 妻はもう料理がダメでね。ぼくが作ったほうが美味かった。」


レオは笑った。



この人が


自分の苦しみをすごくすごくわかってくれている気がして


安心できた。




「ピアノが好きなら。 たくさんの道がある。 自分が心地よくいられる場所が必ずあるから、」



そしてその明るい言葉に救われた。




真尋が1週間も留守にするのが心配だったが、なんだかこのブルックナー父娘のおかげで寂しさを感じずに過ごせそうだった。




「パパ! 見て! エリサが日本から雑誌を送ってもらったんだよ~~! スゴイよ。 こんなにかわいい服がいっぱい載ってるの。 日本の女の子ってこんなにおしゃれなんだ~~~、」


絵梨沙が送ってもらった雑誌を見てマリーは大喜びだった。


「よかったね。 エリサにお礼は言ったかい?」


「うん! ね!」


マリーはにっこりと絵梨沙を見て微笑んだ。



年の離れた妹のような気持ちでマリーに接した。


少しずつNYであったイヤなことを忘れてしまいそうだった。




「え、エリサ来てくれるの? パパがマリーひとりで行きなさいって言うんだけど~、」


今日はマリーのピアノのレッスンの日だった。


「いいのよ。 バスですぐでしょう? 一緒に行くわ。」


きっとレオは自分のことを気遣ってそう言ってくれたんだろうと思った。



「ほんとう? よかった~~。 あたしエリサと一緒に行きたかったから。」


マリーは嬉しそうに絵梨沙の手を取った。




絵梨沙はレオの亡くなった妻の話を聞いて、少し心が軽くなりました・・・



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