Sanftheit~優しさ(15) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

彼は実家には戻らずに明日長野に出発するまではホテルに泊まると言って、私たちは別れた。



それを待っていたかのように



「・・いったい・・なんなの、あの子は・・・。」



母は私に言った。



「なんなのって・・。 パパがすっごく彼のこと買ってるの、」


「それは聞いたわよ・・・。 マークが試験を受けに来た彼に一目ぼれして音楽院に入れちゃったって話は。 でも、あのナリはなんなのよ・・」


「確かにナリは・・・。 でも、彼すっごく実力があるのよ、」


「それも聞いたけど。 どんなコンクールに出てるの?」


「・・それは・・・。 彼はあんまりコンクールに興味がないみたいで。 子供のころに一度出ただけだって、」


「はあ? 何ソレ・・・。」


さらに母の中の彼の株が下がりそうなので


「でも! 3月にあったNYでのパリのオルフェスの公演で、彼ピアコンのソリストを務めたのよ。 それが評判になって・・・」


一生懸命私は彼のいいところを話した。


「ああ・・・そんな話も聞いたけど。 でも、私実際に見てないし。 どれだけのものか。」


「あの巨匠のシモン・クルシュも彼を認めてるのよ、」



巨匠まで出されて、母の彼の経歴の追求は少し収まったが。





「で。 絵梨沙とどういう関係なの???」



いきなりそっちからの攻撃になりドキンとした。


パパは本当に私たちのことも母に話してないようだった。



「あー・・・。 っと。 うん・・・。 まあ、おつきあいしてるっていうか、」



私は恥ずかしくてうつむきながらそう言うと、


母はまたびっくりして



「ちょっと! どーゆーことなの! あなたがあんな人と!!!」



また荒波が立ち始めた。


母が驚くのは無理もなく


日本にいたころの私は全く男っ気がなく、異性とつきあうことさえ驚きだろうに


その彼があの人ということになるとその驚きは倍増だっただろう。




「あんな人って・・。 見た目で判断しないで。 ホント、彼すっごい才能があるのよ。 ママも彼のピアノを聴けばわかるわ。」



私の言葉はほとんど母に聞こえてないようで、彼女は頭を抱えていた。



「マークったら! とにかくヘンな虫がつかないようにって頼んでおいたのに! 虫どころかなんかもう・・猛獣みたいだったじゃない!!」


「パパのせいじゃないわよ。 ・・あたしが。 彼とつきあいたいって思ったの。 ママはあたしがこんなに他のピアニストを褒める言葉なんか聞いたことなかったでしょ?」



そう言われて母はその通りと思ったのか



「・・・でも。 マークはもう彼のことをとにかく褒めて。 お気に入りみたいだけど・・娘のあなたよりも正直入れ込んでるみたいで。」



「あたしはパパに特別扱いはされたくない。 パパは本当に公平に学生たちに接しているのよ。 あたしはそれがすごく居心地がいいって思うもの、」



私の言葉に母は小さなため息をついた。




夕方、自宅に戻ると彼から電話があった。



「ねー。 こっち、これない?」


「え・・・。」


「明日からも一緒って言ってもさあ・・・。 合宿なんだからさ、おんなじ部屋ってわけじゃないし。」


彼が何を求めているかがわかって、


「・・・でも、」


私は荷物をまとめている母の姿を見た。


「ちょっとだけ、」


彼の『お願い』にちょっと困ってしまった。



「はあ? 出かける?」


「すぐ戻るから、」


私は慌てて出かける支度をした。


「どこに??」


「・・・高校のときの友達のところよ。 ほんと、すぐに戻るから。」


私は母にウソをついた。


友達がそう多くなかった私はみえみえのウソと思いながらも、母の追及を振り払うように家を出た。




絵梨沙ママは真尋に非常に憤慨しています・・


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