Sanftheit~優しさ(4) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

マエストロ・シモンが指揮をするということで


ホールはお客さんでいっぱいだった。




音楽院の学生とはいえ、レベルは相当なものなので


音楽好きのウイーンの人達はこぞって聴きにやってくる。




最初のオケの演奏の時から私はもう祈るような気持ちで『その時』を待った。




『・・・・つづきまして。 ピアノコンチェルト。  ラフマニノフピアノ協奏曲第2番。 ピアノ演奏者・ピアノ科 マサヒロ・ホクト。』



アナウンスがあってようやく舞台に目をやった。




燕尾に身を包んだ彼が現れると、観客の拍手が起こった。



一礼して顔を上げた彼の顔を見て私は驚いた。




笑っている・・・



今朝まで死にそうな顔をしていたのに。



そしてマエストロを目を合わせてまたニッコリと微笑んだ。




彼のその笑顔で


私はすうっと気持ちが軽くなった。




ピアノの前に座った彼は


いつものように手をさすって


ふうっと息をついて。



ピーンと張り詰めた空気の中。


マエストロのタクトが、あうんの呼吸で下ろされた。






始まった時から


私は瞳にずっと潤いを感じていた。



鳥肌も収まらなかった。




昨日のリハまで、しっくりこなかったのに。


今日は彼がオケの音を包み込むように合わせている。


それがはっきりとわかったから。




ラフマニノフの壮大で荘厳で


美しい旋律が私の心を揺さぶる。





なんて。



美しいんだろう・・・




私はたまらずに目を閉じたとたん、涙が頬を伝わった。




もう息も止まりそうなほどその音がいっぱいになった空気に


身体が震え。


心が震えて。




彼は身体中でオケの全ての音を包み込んでいる。



たぶん


オケの人達も同じ感動を感じているって、私はヒシヒシと思い知った。



今まで聴いたどの『ラフマの2番』より、感動で。



その煌く音を仕切るマエストロの背中は、もう


喜びに満ちて。




私はクライマックスに近づいた時、耐え切れずに両手で顔を覆ってしまった。




本番の真尋はもう絵梨沙の想像をも超えるピアノで・・・



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