Sanftheit~優しさ(3) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

通しのリハは


非常に無難に終えた。


そう


無難だった。




「大丈夫よ。 きっと明日は成功する、」


エレナはそう言って彼を励ましていた。



彼はそんな彼女の励ましも聞こえていないように、亡霊のようにスーッと歩いて行った。




「おいおい・・・大丈夫なのかよ・・・。あいつ、」


「なんとか通せたけど。 げっそりしちゃって、」



今までただ彼の悪口を言っていた人達も


その変貌振りに逆に『心配』しているようだった。






「なにか。 おなかに優しいものを食べましょう。 スープを作るから、」


私はその晩、少し明るく言った。



彼はそれに答えず、ピアノのイスに片足を淵に乗っけた格好でジッとしていた。



あんなにおしゃべりなのに


気がつけば昨日から彼の声を聞いていない。




・・どうしよう・・・


私のほうが不安で泣きたくなっていた。






当日。


何とか無精ひげを剃って、シャワーも浴びて小奇麗になった彼は


やっぱりどこか魂が抜けていた。



「・・・大丈夫?」


私の問いかけに


「・・・絵梨沙・・・」


ようやく彼の声を聴いた。



「え?」



彼はすごい怖い顔で私を見た。


ちょっと後ずさりしたくなるほど。



「・・・見ててくれな。 おれ・・・ほんっと力の限り弾くから、」



胸に


ズンときた。




「う・・・うん、」



私は彼を見つめて頷いた。




もう私も朝から何も食べられなかった。


ドキドキしたままホールに入り、始まるまでの時間がいたたまれなくなるくらいの気持ちだった。


隣に人が座る気配がしてハッとした。



「とうとう来ちゃったね、」


父だった。



「・・・うん、」


私は小さくうなずいた。




もう絵梨沙の心の中は真尋だけで埋め尽くされているようで・・・



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