crescendo~だんだん強く(12) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

出番を終えて舞台袖に引っ込むと



「いやー。 良かったですよ・・・。 ほんと神々しいくらいキレイで・・・」


劇場の支配人の男性に声を掛けられた。



「・・ありがとうございます、」


私はまだ感動が止まらなくて、声が震えていた。



「すごいオリエンタルで気品に満ち溢れていて。 こんな美しいピアニスト、他にいませんよ。」



オリエンタル・・・



何だか不思議だった。


日本にいた時は『ガイジン』なんてからかわれて。


だけど、こうして西洋の人達に混じると


私は間違いなく東洋の人だと認識されている。



あたし


やっぱり日本人だったのかな・・



そう思ったりもした。



「・・これからも。 ぜひよろしくお願いします、」



私は深く頭を下げた。



私は人ごみで自然と彼の姿を探してしまった。


大きな彼はどこにいても目立つのに、どうしても探せない。


すると後ろからポンと背中を叩かれた。


父が微笑んでいた。


「パパ・・・」


「すごく。 良かったよ。 うん。 コンクールの時の何倍も、良かった、」


仕事に反対をしていた父だったけど


こう言ってもらうとすごく嬉しい。



「まあ、これからも無理をしないで少しずつこうしてやっていこう。 音楽院を卒業するまでは、」


「・・うん。」


私も笑顔で頷いた。


そして


「あの・・・彼は・・・」


と、父に聞いてみた。


「え? ああ、マサ? さっきまでいたんだけど。 これからまた練習するからって帰ったよ、」


「・・そう、」


気持ちが下がっていくのがわかった。



彼に


何かを言って欲しかった。



素直にそう思ってしまった。




それからクリスマスイヴの日まで、私たちはずっとすれ違いだった。


たまに彼の部屋からピアノの音が聞こえることもあったけど


部屋に行く用事もみつからず


ヘンな意地を張っていた私は気軽に彼を訪ねることができない。




学校にも来ているのかいないのか。


単位は取れているのか心配になるほどだった。



フランツが都合してくれた彼のライヴのチケットを見て、小さなため息をついた。



いつの間にか絵梨沙は真尋のことが気になって仕方なくなっています・・


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