信じられない。
私が男の人と『同居』するなんて。
もうそのことで頭がいっぱいだった。
当座の着替えなどを買い物に行くと、何だか本当に彼と『暮らす』ようで
それだけでドキドキしてしまう。
買い物から帰ると彼はベッドの上で譜面を見ながら音源をイヤホンで聴いていた。
無意識に手を動かしながら。
そんな姿を見ると
本当に申し訳なくなる。
彼にとって1日でも1時間でも時間はないはずだったのに。
私が戻ってきたことに気づいて、
「あ、おかえり。」
とイヤホンを外した。
「・・・何か。 食べるものを作るから。」
少し笑顔でそう言った。
「そうそう、さっきっから腹だけは減ってんだよ。」
そう言う彼はいつもと同じだったけど。
ベッドでも食べやすいようにサンドイッチを作った。
「うま~~い。 ほんと絵梨沙は何作ってもうまいね!」
そんなに褒められて少し恥ずかしい。
「もう少しクッションを腰に充てるといいかも、」
私はソファにあったクッションを彼の腰に充ててやった。
その時またすごく接近してしまって、ひとりどぎまぎしてしまった。
「あの、」
私が言いずらそうに切り出すと
「え?」
もぐもぐと口を動かしながら返事を返した。
「本当に・・ごめんなさい。 ピアノが・・弾けなくなってしまって。 もう何て言っていいか・・・」
もう一度きちんと謝りたかった。
そんな神妙な私に
「ああ・・それは。 しょーがないじゃん。 ま、ここらでちょっと休めってことかも。 ここんとこ煮詰まってたから。何度やっても納得いかねーし。 イライラしてたから。」
そう言って口の周りをティッシュで拭いた。
「でも、」
尚もウジウジしていると
「ま。 おれもいい思いさせてもらっちゃったから、」
彼はニヤっと笑った。
「は????」
「おんぶしてっとさあ・・・・。 背中にめっちゃおっぱい感じちゃって。 おっぱい大きいよね・・・。ほんっとキモチ良かった~~~~~、」
体中のマグマが一気に上昇してしまった。
思わず腕で胸を隠して
「なっ・・・・・・」
すごい勢いで後ずさりした。
しかし彼は尚も
「ほんっと蛇の生殺しってゆーか。 ここに連れてきたときもさあ、なんかしちゃってもわかんなそーだったから、一瞬襲っちゃおうかって思ったけど。 まあ、いちおうそれはね~~~。 おれにも『リセイ』ってゆーの? それもあったし。 でもさあ、腰がこんなになっちゃうんだったら、ちょっと何かしとけばよかったかな~~~とか、」
ベラベラと下品なことをしゃべり続けた。
「バカっ!!!!!」
私はそこにあったもう一つのクッションを彼に投げつけた。
それを反射的に受け止めた彼は
「い゛っ・・・・・・・」
腰に衝撃がきたみたいでまた固まった。
せっかく素直に謝れたのに・・・真尋は本当にデリカシーゼロでした・・・
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